聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

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過活動膀胱

過活動膀胱について

(日本泌尿器科学会 ホームページより)

「急にトイレに行きたくなる」、「トイレに行くまでに間に合わずにもれてしまう」といった悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。これらは「過活動膀胱(かかつどうぼうこう)」という病気の可能性があります。日本排尿機能学会の調査によると、40歳以上の10人に1人、810万人もの方が過活動膀胱の可能性があるとされています。年齢とともに増加するので、歳のせいとあきらめておられる方も多いと思いますが、適切な治療をすることで改善しますので是非ご相談ください。

過活動膀胱の診断について

過活動膀胱は4つの質問で診断することができます。

  • ① 朝起きた時から夜寝る時までに、何回くらい尿をしましたか?
  • ② 夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きましたか?
  • ③ 急に尿がしたくなり、がまんが難しいことがありましたか?
  • ④ 急に尿がしたくなり、がまんできずに尿 をもらすことがありましたか?

ご自分が過活動膀胱かもしれないと思ったときは、泌尿器科専門医を受診して4つの質問に答えていただき、次の治療へと進みます。

過活動膀胱の治療

① 膀胱訓練+水分制限

過活動膀胱の治療と聞くとすぐに「薬」とおっしゃる方もおられます。しかし1日1回程度の症状であった場合には、薬を飲まなくてもトイレを我慢するだけで改善できることがあります。あくまで目安ですが、排尿の間隔を3時間あけることを目標にしましょう。初めは2時間トイレを我慢することも難しいかもしれません。でも15分ずつ我慢する習慣をつけることで2~3ヶ月すると3時間トイレを我慢することができるようになってきます。これが「膀胱訓練」です。
また「血液をさらさらにする」、「体がキレイになる」と思って寝る前に水分を摂取するようにしている方は水分を制限することをお勧めします。
ただし水分を制限して3時間我慢しようとするともれてしまう場合にはお薬や注射の治療が有効になります。

② 抗コリン剤(製剤名 バップフォー ポラキス デトルシトール ウリトス ステーブラ ベシケア トビエース ネオキシテープなど)

抗コリン剤は膀胱の筋肉の緊張をゆるめるお薬です。神経終末からのアセチルコリン放出を抑えるため、涙・唾液・尿・便などの体液の分泌を抑えます。抗コリン剤を服用することでトイレの回数を減らすことができますが、涙や唾液がでなくなることによる目・口の渇きや便秘が副作用として多くみられます。

③ 選択的β3アドレナリン受容体作動薬(製剤名 ベタニス ベオーバ など)

抗コリン剤と同じく膀胱を緩める作用がありますが、作用機序がやや異なります。そのため目・口の渇きや便秘などの副作用は抗コリン剤より少ないとされています。

④ 仙骨神経刺激療法

お尻の骨(仙骨)へ電極を埋め込みことで過活動膀胱を改善する治療方法です。2014年から便失禁に対する治療として保険適応となり、2017年より尿失禁にも適応が拡大されました。特に便失禁にも困っている方にお勧めです。

⑤ ボツリヌストキシン膀胱壁内注入療法

2020年4月より保険適応となった一番新しい治療方法です。
筋肉の緊張をゆるめるために直接膀胱にボツリヌストキシン注射する治療です。ボツリヌストキシンには筋肉の緊張をゆるめる効果があり、脳血管障害後のマヒや顔のしわをとる美容目的でつかわれることがあります。これを膀胱に注射すると急な尿意・尿失禁を抑える効果があるため、世界中で行われるようになりました。

実際には膀胱をカメラでみながら細い針より膀胱の排尿筋へ注射します。1回の注射で6~9ヶ月効果が持続いたします。
飲み薬が効かない、薬の治療は効果があるけれど副作用で続けられない方にお勧めの方法です。ただ稀に排尿できなくなる方がおられますが、その際には自己導尿を行っていただきます。

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