入院中の患者さんの転倒・転落による外傷予防については、2つの視点から検討する必要があります。
1つ目は、転倒・転落そのものをなくすことです。
市民に対する「転倒予防教室」などがその例です。
病院では、転倒・転落防止のための施設環境整備が重要であることは言うまでもありません。さらに、職員が転倒・転落予防の知識を身に付け、医療・看護業務にあたることが必要です。しかし、これを徹底しても、高齢で多くの疾患を持つすべての患者さんの転倒・転落を根絶することは不可能でしょう。
2つ目として、万が一患者さんが転倒しても外傷が比較的軽くて済むような工夫が必要になります。
市民に対して行う「上手な転倒の仕方教室」はその例です。病院では、道具や装具を上手に利用するほうがむしろ実際的で、効果があるのではないかと思われます。例えば、転倒・転落をしても大腿骨頚部骨折を起こさないよう、あらかじめ患者さんに「骨盤部を保護するパッドなどを装用していただく試み」を指導します。すでに高齢者施設などで指導効果が証明されており、病院で実施された場合にも有用性が期待できます。