聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

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腰椎椎間板ヘルニアに対する内視鏡手術

腰椎椎間板ヘルニアとは

腰の骨の間にあるクッションの役割をする椎間板が背側に突出し、背側に走る神経を圧迫し、圧迫された神経の支配領域(多くは下肢)に痛みやしびれが生じる病気です(図1)。腰椎椎間板ヘルニアがあっても、しびれなどの神経症状がなく、腰痛のみを訴える方もいます(約9%)。腰椎椎間板ヘルニアの多くは、保存治療で良くなりますが、10-30%の方は手術が必要になると言われています。当院では、手術が必要な方に対しては、内視鏡を用いた低侵襲手術を行っています。

腰椎椎間板ヘルニア腰椎椎間板ヘルニア
図1

内視鏡手術の適応

腰椎椎間板ヘルニアの多くは、自然経過で軽快しますが、保存治療(安静、装具、リハビリ、ブロックなど)の効果がない場合や、強い痛みを繰り返す場合、筋肉の麻痺などの神経症状がある場合などには手術的治療が選択されます。内視鏡手術は、侵襲を最小限にできる反面、狭い視野で行うため、特殊な専用器械を要し、高い技術が必要とされています。そのため、全ての方が内視鏡手術を受けられるわけではありません。また、脊柱管狭窄症の合併や椎弓間・椎間孔が狭い方、ヘルニアの大きさや位置(下垂ヘルニアなど)などによっては適応とならないことがあります。

手術方法

以前は皮膚を5cm程度切開し筋肉を脊椎骨からはがしたのちに骨を削り、神経をよけてヘルニアを摘出する手術(Love法)が一般的でした。その後、切開部位を小さくし顕微鏡を併用する手術も行われるようになりました。90年代後半より、内視鏡手術がアメリカで導入され、日本でも行われるようになりました。内視鏡手術は、顕微鏡手術と同様に筋肉や骨切除を最小限にする低侵襲手術です。狭い内視鏡の中で手術を行いますので、通常の手術より難易度が高くなりますが、当科には脊椎内視鏡下手術・技術認定医が在籍しております。

日本整形外科学会 認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医

当院では内視鏡下椎間板摘出術MED (MicroEndoscopic Discectomy 皮切 約2cm 全身麻酔 図2)と経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術 PED(Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy  皮切 約1cm 、 局所麻酔 図3)をヘルニアの発生部位や大きさによって使い分けて治療を行っております。

内視鏡下椎間板摘出術MED
図2 MED
背側より、16mmの内視鏡を挿入し、神経を避けながら
椎間板を切除する方法。全身麻酔にて行います。
経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術 PED
図3 PELD
局所麻酔を用いてMEDよりもやや外側から
8mmの内視鏡を挿入してヘルニアを摘出します。

再発率に関しては、さまざまな報告がありますが4-14%と言われています。再発しても必ず再手術となるわけではなく自然に良くなる傾向があります。

術後のリハビリテーション

内視鏡手術の種類により、術後経過は多少異なりますが、いずれの手術を行っても、入院期間は、約3日間です。

  • 基本的にコルセットは必要ありませんが、柔らかいコルセットを1週間くらい着用すると傷口の痛みを軽減することができることがあります。
  • 就労への復帰は、デスクワークでは術後2週間が一つの目安となっております。
  • 術後1か月後からは、日常生活の制限はありません。
  • スポーツへの復帰は競技により異なりますが、3~4ヶ月を目安としております。

参考文献) 腰椎椎間板ヘルニア 診療 ガイドライン (南江堂)

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