聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

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人工肩関節置換術とは

人工関節置換術は、変形性関節症や関節リウマチなどの病気や骨折などの怪我により傷んだ関節を人工材料で置き換えて機能を回復させる手術です。肩関節の人工関節置換術は、1893年にフランス人医師により世界で初めて行われ、人工材料の開発と手術手技の改良とともに発展してきました。1950年代には上腕骨側のみ置換する人工骨頭置換術が開発され、その後様々な種類の人工肩関節が開発されてきました。技術の進歩により正確で強固な設置が可能となり、また骨の形と大きさの違いにも対応できるようなデザインとサイズバリエーションにより術後臨床成績は向上し、国内外で広く行われる手術となっています。

人工肩関節置換術の種類

人工骨頭置換術

上腕骨側のみ置換する人工肩関節です。粉砕の強い骨折の治療に主に用いられます。近年、後述するリバース型(反転型)人工肩関節置換術が骨折治療にも用いられるようになったため、人工骨頭置換術が行われる頻度は減少していますが、関節面側を温存したい若年者などに適応されることがあります。


(A)粉砕の強い上腕骨近位端骨折、(B)人工骨頭置換術後

(解剖学的)人工肩関節置換術

肩関節の形態(上腕骨側が凸、関節面側が凹)を模した人工肩関節です。関節軟骨の摩耗・消失があり痛みや動きに制限を認める変形性肩関節症などが適応となります。肩関節の安定に重要な役割を果たす腱板筋の機能が温存されている場合に使用できます。


(A)変形性肩関節症(右肩)の術前単純レントゲン写真、
(B)術前MRI画像:腱板の損傷を認めない(赤矢印)、
(C)解剖学的人工肩関節置換術後の単純レントゲン写真

リバース型(反転型)人工肩関節置換術

2014年に日本に導入された比較的新しい人工肩関節で、腱板機能が破綻している場合にも使用できることが最大の特徴となります。修復することの出来ない腱板断裂、腱板断裂に伴う変形性関節症、腱板機能不全を伴う関節リウマチ肩、粉砕の強い骨折などが適応となります。リバース型人工肩関節置換術の実施にあたっては日本整形外科学会が定めたガイドラインに基準が設けられていますが、当院は施設基準を満たしており、実施医基準を満たした医師も在籍しています。


(A)大きな腱板断裂(赤矢印)を伴う肩関節の術前MRI画像、
(B)リバース型人工肩関節置換術後の単純レントゲン写真

(A)粉砕の強い上腕骨近位端骨折、
(B)リバース型人工肩関節置換術後

手術方法

人工骨頭置換術では上腕骨側、人工肩関節置換術では上腕骨側と肩甲骨側の両方を人工材料で置換します。

  • 肩前面に10~15cmの皮膚切開を加えます。
  • 筋肉の間を分けて入り、前方の腱板(肩甲下筋腱)が残存している場合は切離して肩関節を展開します。
  • 術前計画および術中の評価により、個々の肩の形態に適した人工関節が設置できるように専用の器械を用いて関節面を骨切りし形成します。
  • 人工関節を骨に固定します。骨の状態(骨密度、骨形態、骨折の有無など)などにより骨セメントを使用して固定する場合があります。

人工肩関節置換術は、修復できない腱板断裂や治癒が期待できない骨折においても安定した術後成績が期待できる優れた手術ですが、いくつかのリスク(合併症)もあります。術後に感染や脱臼、人工関節のゆるみが生じることもあり、再手術が必要となる場合があります。稀ではありますが、全身に影響が及ぶ深部静脈血栓症、肺塞栓症などもあります。

術後のリハビリテーション

  • 人工肩関節置換術後は1~3週間装具を使用します。
  • 手術翌日より、理学療法士による肩関節可動域訓練を開始します。装具装用下での日常生活動作訓練も行います。
  • 当院では術後2~3日での自宅退院を目標としています。
  • 退院後も継続してリハビリテーションを行います。

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