聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

臨床検査科

臨床検査科のお知らせ

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診療内容

臨床検査科のご紹介

当科は「検体検査」と「生体機能検査」を担当します

「検体検査」とは、血液や尿やその他の体液、それに分泌物などを分析対象として、成分の分析や病原菌の有無を評価する…といった、検体を分析する検査です。また、安全に輸血療法を行うための血液型検査を行い、輸血製剤の管理を行います。
 「生体機能検査」とは、臓器が作り出す微弱な電気信号を測定したり(心電図や脳波検査など)、体の表面から超音波を当てて内部(心臓、腹部臓器、血管など)の構造を確認したり、聴力や肺活量を測定する…といった、生体の機能を評価する検査です。
 1名の臨床検査科部長(医師、部門全体の責任者)と2名のマネジャー(臨床検査技師、それぞれ検体検査と生体機能検査を統括)のもと、多くの職員が専門性を発揮して信頼性の高い検査結果を臨床現場に提供しています。

当科は日本で最初に設立された中央検査部門です

当科の歴史は、当院設立(1902年)から23年が経過した1925年にはじまります。
 1923年9月1日に関東大震災のため開院時の病院が焼失し、1924年6月に仮病院が再建されました。その翌年の1925年1月13日、仮病院の3分の2が消失し、同年5月に2倍に拡大して再建されたのですが、この再建の際に4つの小部門「裁縫室」「病理試験室」「一般試験室(細菌検査・血清検査)」「化学試験室」からなる中央検査部門が、日本で初めて設立されました。小部門のうち「病理試験室」は1930年に独立して現在の病理診断科となり、残りの小部門が現在の当科(臨床検査科)となりました。

当科はISO 15189の認定施設です

「ISO 15189」の”ISO”とは、スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関 International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称です。 ISOの主な活動は国際的に通用する規格を制定することです。ISOが制定した規格は「ISO規格」と呼ばれ、非常口のマーク(ISO 7010)やカードのサイズ(ISO/IEC 7810)、ネジ(ISO 68)などといった「モノ」の規格や、品質マネジメントシステム(ISO 9001)や環境マネジメントシステム(ISO 14001)といった「仕組み(システム)」の規格など、さまざまな「ISO規格」があります。
 さて、当科が認可されている「ISO 15189」は、臨床検査室の品質と能力に関する国際規格です。このISO 15189は2012年に第3版が発行され、品質マネジメントシステムと技術能力に関する要求事項が記載されています。この認定を取得そして維持することは決して簡単ではなく、さまざまな要求事項を満たす必要がありますが、当施設は2018年8月13日にISO 15189認定施設となり、以後も継続してその条件を満たしております。すなわち、当科が提供する検査結果の質(クオリティ)は、国際基準によって保証されています。

診療内容・特色

聖路加国際病院臨床検査科では、約90名の国家資格を有する臨床検査技師や看護師、医師を擁し、聖路加国際病院および附属クリニック・予防医療センター、聖路加メディローカスにおける採血・検体採取、検体検査、生理機能検査および輸血検査業務を担っています。

採血・検体採取

採血・検体採取

血液、尿・便、髄液、喀痰、膿、分泌物など、患者さんから採取され検査に提出されるものは検体と呼ばれます。救急外来や病棟で採取する場合と、外来では臨床検査科において採取する場合があります。臨床検査科の採血・採尿室、検体受付は検体検査室に直結しており、採取後速やかに検査を開始することができます。

検体検査

検体検査

一般検査(尿・便など)、血液検査、生化学・免疫検査、微生物検査の4部門に分かれて検査を行っています。それぞれの部門に経験豊富な臨床検査技師が勤務し、正確な結果を迅速に報告します。特に重要な検査項目については、夜間休日問わず24時間検査が可能です。

生理機能検査

生理機能検査

心電図、心エコー、血管エコー、血圧脈波検査、心肺運動負荷試験検査、肺機能検査、無呼吸検査、脳波検査、神経・筋機能検査、聴力検査などの検査を行います。予防医療センターや聖路加メディローカスでは、腹部エコーや乳腺エコーも当科が担当しています。 患者さんと臨床検査技師がお話を交えながら的確に検査を進めています。

輸血検査

輸血が安全に実施できるように、個々の患者さんの血液型検査のほか、輸血用血液と輸血を受ける患者さんの血液とが適合しているかどうかの検査を行っています。輸血製剤の保管・管理も輸血検査の業務です。 検体検査同様、輸血検査も夜間休日問わず24時間実施可能です。

フロアマップ

検体検査室

検体検査室

生理機能検査室

生理機能検査室

生理機能検査で行っている検査と注意事項

※この表はスクロールします

分類 検査項目 検査時間 検査説明・内容 注意事項
心電図検査 安静時12誘導 5分 心臓の電気的活動を体表面から記録する検査 ・胸や手首、足首をを出しやすい服装がおすすめです。
起立テスト 10分 起立後5分間、1分毎の心拍数と血圧の測定を行う検査
自律神経機能検査
(CV R-R)
5分 心拍変動(RR間隔)より求める自律神経検査
Late Potential
(心室遅延電位)
10分 加算平均心電図により、通常の心電図では記録できない微小な電位を調べる検査
時間内歩行試験 30分 6分間での歩行距離を調べる検査 
SpO2と心拍数を測定
・歩きやすい靴でお越しください。
・指先にSpO2センサー装着の為、マニキュア不可です。
運動負荷検査 トレッドミル(TMT) 30分 トレッドミル(ベルトコンベア状のルームランナー)を用いて行う運動負荷検査。
心電図の他に血圧測定あり。
・2時間前からの飲食ならびに喫煙、激しい運動は控えて下さい。
・運動をしやすい着替え・運動靴をご持参ください。
心肺運動負荷テスト
(CPX)
1時間 エルゴメータ(自転車のペダル踏み)を用いて行う心肺運動負荷検査。
心電図、血圧の他に呼吸ガス分析あり。
24時間モニター 24時間心電図検査
(ホルター心電図)
20分 胸部に電極を装着して24時間の心電図記録を行なう ・電極装着後の入浴やシャワーは使用出来ません。
・通常24時間(血圧測定は25時間)装着となります。
・検査開始後にレントゲン検査やMRI等は出来ません。
・検査結果は装置を外してから1週間程かかります。
24時間血圧心電図検査 30分 胸部に電極を腕に血圧のカフを装着し25時間の心電図・血圧(30分毎)の記録を行なう
携帯型心電計 説明20分 症状がある時にご自身で心電図を記録 ・予約日から1週間の機器貸出しになります。
長時間心電図検査 装着15分 1日~1週間までの心電図検査を行う ・半身浴、シャワーの使用可能
血管機能検査 血圧脈波検査(ABI) 15分 両腕両足首に血圧測定のカフを付け、ABI(足関節上腕血圧比)やPWV(脈波伝達速度)を記録する検査 ・血液透析のシャントがある場合は、その部位の検査は出来ません。
皮膚灌流圧検査(SPP) 1時間 レーザードプラを用いて皮膚表面の毛細血管血流を記録する検査 ・下腿に包帯などが巻いていある場合、外して検査を行う場合があります。
脳波・
神経筋
機能検査
脳波 1時間~1時間30分 脳が活動する際に発生する微弱な電位を記録する検査
睡眠状態の記録も行う場合もある(自然睡眠、薬物睡眠)
・痛みのない検査です。
・前日に洗髪して下さい。
・検査はベッドに寝た状態で行います。
・薬物睡眠の場合には、予約時間に合わせて薬物を使用します。
神経伝導検査 1時間 末梢神経を電気刺激して、筋活動電位や神経活動電位を記録する検査 ・電気刺激による痛みを伴う場合があります。
筋電図検査 30分 針状の電極を筋内へ刺入して、運動単位電位を記録する検査 ・痛みを伴う検査です。
聴性脳幹反応(ABR) 1時間 耳に音刺激を与え、刺激に対する聴覚路の反応を記録する検査 ・ヘッドホンで音を聞きます。
・小さなお子さんは、眠った状態で行う場合があります。
体性感覚誘発電位(SEP) 1時間 手首や足首の末梢神経に電気刺激を与えて感覚路の反応を記録する検査 ・痛みを伴う検査です。
視覚誘発電位(VEP) 1時間 ディスプレイやゴーグルで目に視覚刺激を与えて視覚路の反応を記録する検査 ・普段ご使用のメガネなどをお持ち下さい。
肺機能検査 スパイロメトリー 15分 肺活量(VC)
フローボリューム曲線(FVC)
・限界まで息を吸ったり吐いたりしていただく少し苦しい検査です。
・患者さんの努力によって結果が左右されますので、ご協力をお願い致します。
ルーチン 30分 肺活量(VC)
フローボリューム曲線(FVC)
機能的残気量(FRC:安静呼吸時に肺に残っている空気を調べる)
吸入検査 1時間 ルーチンの検査に加えて、気管支拡張剤による改善の有無を調べる検査 ・検査前の吸入は吸入剤の種類によって使用が出来ない場合があります。
拡散機能(DLCO) 1時間 ルーチンの検査に加えて、肺胞のガス交換能力を調べる検査 ・当日の喫煙は控えて下さい。
呼気NO測定 15分 呼気中のNO濃度を調べる検査(喘息の診断) ・6秒以上呼出が出来ない場合は検査が出来ません。
呼吸抵抗(モストグラフ) 15分 呼吸をするときの空気の通りにくさ(呼吸抵抗)を調べる検査 ・食事は1時間前までにお済ませください。
・当日の喫煙は控えください。
睡眠時無呼吸検査 簡易検査 説明20分 睡眠時の呼吸状態を調べる検査
(ご自宅にて患者さんご自身がセンサーを装着します)
・検査室にてセンサーの付け方と機器操作説明を致します。
・翌日返却して頂きます
終夜睡眠ポリソムノグラフ
(PSG)
装着1時間 睡眠中の呼吸状態、脳波、心電図等を調べる検査
(1泊入院にて行います)
・入院後、病室にて検査技師がセンサーを装着します。
・マニキュアは不可です。必ず落としておいて下さい。
超音波検査 経胸壁心エコー図 30分 胸壁に探触子(プローブ)を当て、心臓の形態、動態、機能を調べる検査 ・検査担当者の声にあわせて息を吸ったり吐いたり止めたりしていただくことがあります。
・基本的には痛みを伴う検査ではありませんが、探触子があたって痛い場合は直ちにお知らせください。
経食道心エコー図 1時間 食道内に専用の探触子を挿入し、食道から心血管系を観察する検査 ・検査の4時間前までに食事を済ませて下さい。
・前処理として’喉の麻酔’が必要です。
血管エコー図 30~1時間 超音波を用いて血管(頚動脈、四肢動脈・静脈)を調べる検査
耳鼻科検査 聴力検査 15分 様々な周波数(Hz)の音を聞き、聞き取れた一番小さい音のデシベル(dB)を記録する検査
ティンパノメトリー 5分 鼓膜に陽圧・陰圧を加えて鼓膜の動きを調べる検査
耳管機能検査 10分 耳管に異常がないか調べる検査
鼻腔通気度検査 10分 鼻閉の程度を調べる検査
重心動揺検査 10分 めまい、平衡障害を調べる検査
臭覚検査 30分 臭覚障害の程度を調べる検査
音場検査 10分 補聴器装用時/裸耳の最小可聴域を測定する検査

診療実績

検体検査件数

項目 2020年度 2021年度
生化学検査 2,944,121 3,159,519
免疫学検査 356,896 377,564
尿一般検査 160,993 175,195
血液学検査 512,500 546,894
細菌学検査 53,447 61,571
緊急検査 409,923 415,756
輸血検査 27,376 28,385
採血依頼件数 147,315 155,835

生理機能検査件数

項目 2020年度 2021年度
循環器系 64,824 72,565
脳神経系 2,725 2,865
呼吸器系 5,432 6,306
耳鼻科系 2,942 3,407

残余検体の再利用について

当院臨床検査科では、品質の高い精度管理の維持と向上のために検査終了後の残余検体を再利用させて頂くことがあります。精度の高い検査結果を提供するために、ご理解とご協力をお願い致します。

  • 残余検体の再利用にあたっては、「臨床検査を終了した検体の業務、教育、研究のための使用についてー日本臨床検査医学会の見解-」を遵守し行っております。なお、研究目的の使用については、別途、院内の適切な審査を経て行われています。
  • 残余検体の再利用時には、個人の特定が可能な情報は全て削除いたします。
  • 臨床検査後の廃棄予定残余検体を使用するため、患者さんの生命・健康に直接影響を及ぼすことはありません。

患者さんのなかで 「ご自身の残余検体を使わないでほしい」というご意向をお持ちの方は、大変お手数ですが担当者までお申し出ください。

臨床医学研究のお知らせ

新型コロナウイルスの診断、治療のために入院または通院された20歳以上の方を対象とした改良SARS-CoV-2 RNA 検出試薬の評価に関する研究

当院で行った血液検査で黄色ブドウ球菌が検出された方を対象とした黄色ブドウ球菌に関する研究

代表的な薬剤耐性菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が血液から検出された方を対象とした抗菌薬についての研究

研究に関するお知らせ リステリア症に関する臨床研究について

レカルブリオ®配合点滴静注用 特定使用成績調査(各種細菌の耐性化状況の確認)について

法律施行規則の一部改正に伴う業務の追加について

2021年10月1日より臨床検査技師等に関する法律施行規則の一部改正に伴い、臨床検査技師の業務が追加されました。
追加となった生理学的検査(運動誘発電位検査 ・体性感覚誘発電位検査)は厚生労働大臣の指定する「タスク・シフト/シェアに関する厚生労働大臣指定講習会」の全過程を終了したスタッフが担当しています。

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スタッフ紹介

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外来スケジュール表

  • 検査室
  • 受付時間
  • 採血室

      平日 8:00 〜 17:00

  • 生理機能検査室

      平日 8:15 〜 17:00

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トピックス

  • 日付
  • お知らせ
  • 2018年08月23日

    【ISO 15189認定取得】
    ISO 15189とは、臨床検査室の品質と能力に関する特定要求事項を提供するものとして国際標準化機構(ISO)が作成した国際規格です。品質マネジメントシステムと技術的要求事項から構成されており、認定取得した臨床検査室の検査値は国際的に通用することを意味します。これからも患者さんに信頼される検査結果を提供するために、常に改善に努め、臨床検査科業務を遂行してまいります。

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