聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

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受診方法

腹壁瘢痕ヘルニア(ふくへきはんこんヘルニア)とはなんですか?

ヘルニアとは臓器などが本来あるべき位置から脱出または突出した状態を意味します。
おなかの手術のキズあと(瘢痕:はんこん)は傷がない部分と比べると弱く、この部分から内臓が皮膚の下に脱出する病気です。おなかの表面がふくらんで見えることがおおく、ちからを入れるとふくらみが大きくなります。日本では年間に1万人弱のかたが手術を受けています。

腹壁瘢痕ヘルニアはなぜ起きるのですか?

がんなどの手術でおなかを切った傷口(手術創)は、手術の終わりにしっかりと縫い合わせます。
しかしながら肥満、喫煙、緊急手術、手術後に傷が膿んだ、傷の治りに影響するほど栄養状態がよくない、もともと持っている病気や服用している薬の影響など何らかの理由で傷がうまく治らない場合があります。
うまく治らない、つまりおなかの筋肉のまわりについている筋膜・腱膜部分が離れてしまうと、すきまがあき、そのあなからおなかの中の内臓が皮膚の下に脱出するヘルニアが発生します。およそ開腹手術の11~20%、腹腔鏡手術の0.2~25.7%に発生するといわれています。

腹壁瘢痕ヘルニアは自然に治ったりすることはありますか?

自然に治ったりすることはありません。現時点では手術以外に治す方法はありません。

手術を受けないとどうなりますか?

ヘルニアのふくらみは、多くの場合、おなかの力を抜いたりすることで自然に元にもどります。立ったりおなかに力を入れるとふくらみます。
でっぱったまま元にもどらなくなることもあり、その状態を嵌頓(かんとん)と呼びます。
嵌頓は危険な状態で、通常緊急手術が必要です。腸管の血流障害や壊死を伴った場合、命に係わることがあります。
手術を受けないと決めたあと4~5年のあいだに約13~33%の患者さんが以下のような様々な理由で手術をうけるといわれています。

  • 痛みを伴うようになった
  • でっぱる大きさが大きくなった
  • 見た目が気になるようになった
  • 手術を受けたくなった
  • 緊急手術が必要になった

緊急手術を受ける割合は1.7~7.7%といわれています。

どのような治療方法がありますか?

【1.自身の組織を利用して治療する方法】

自分自身の組織を利用し、弱くなった部分を縫いよせる治療方法です。
利点は自分自身の組織を使用するために人工物と比較して感染に強いことです。
欠点は弱くなった周辺の組織を利用するために、再発がほかの方法に比べて圧倒的に高いことです。
現在は特殊な状況で行われることが多く、古典的な方法といえます。

【2.人工物(メッシュ)を利用して治療する方法】

人体に埋め込んでも問題がないとされている素材で作られたメッシュを使い、弱くなった部分を補強する治療方法です。
現在は人工膜(メッシュ)を用いた治療方法が主流で、ほぼ全例でこの方法で行われています。
人工膜(メッシュ)を用いた治療方法には、大きく分けて鼠径部切開と腹腔鏡とロボット支援の3種類の方法があります。

各手術の特徴は以下の通りです。

メリット デメリット
切開法 手術時間が短い
高度癒着に対応可
感染のリスクが高い
術後疼痛がやや強い
入院期間が長い
腹腔鏡 感染のリスクが低い
疼痛が少ない
入院期間が短い
手術時間が長い
高度癒着を認める場合、開腹移行の可能性あり
ロボット手術 感染のリスクが低い
疼痛が少ない
入院期間が短い
腹腔鏡では困難な手術が可能
手術時間が長い
高度癒着を認める場合、開腹移行の可能性あり
保険診療の適用範囲外

これまで受けてきた治療の内容、ヘルニアの発生部位や大きさ、全身状態などを総合的に判断して適切な術式を提示し、ご本人と相談の上決定いたします。
ロボット支援下腹壁瘢痕ヘルニア修復術は、聖路加国際病院 臨床倫理委員会(承認番号19-005)、高難度新規医療技術部(承認番号19-025)の承認を得て実施しています。

診療実績

部位 手術方法 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
腹壁瘢痕 切開法 7 13 11 14 9 4
腹腔鏡 8 14 15 28 19 35
ロボット 1 8
併用 1 2 6 4 10 4

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