初期研修(医科)

研修・教育の概要と特徴

臨床研修の理念

将来専門とする分野に拘わらず、幅広い病態・疾患に対応できる総合的な医学知識・技量を基盤に、
キリストの愛の心をもって患者・家族の価値観に配慮した質の高い医療を
チームの一員として実践できる能力を身につける。

臨床研修<一般目標> (研修の基本方針)

  • 1.患者・家族の考えや価値観に配慮し、「患者との協働医療」を実践する。
  • 2.多職種によるチーム医療を担い、必要時にはリーダーシップを発揮できる。
  • 3.最新・最適な医療知識・技量を踏まえ、「根拠に基づいた医療」を実践する。
  • 4.臨床研究の遂行に必要な基本知識・手順を身につける。
  • 5.地域医療、災害医療などの公衆衛生・社会的枠組みにおける医療の意義を理解するとともに、国際的視野を持った診療を身につける。
  • 6.幅広い素養と感性を身につけるべく、不断の努力を怠らない。

人にしてもらいたいと思うことは、あなたがたも人にしなさい

聖路加国際病院の医療の基本精神は創設者Rudolf B.Teusler博士の姿勢を機軸として打ち立てられ、創設1901年以来100年を越える歴史の中で培われてきたものです。
その精神は医師卒後教育にも深く浸透しています。あくまでも患者を全人的にとらえ、尊重と敬愛の念をもってサービスを行う、という位置づけ。これを常に医療の実践の軸に据えること。口先だけではなく、日常的診療の中ににじみ出る姿勢にまで培うこと。これが初期研修医教育の中で、技術的な熟達や知識、判断力の修得に先んじて、なによりも学び取っていただきたいものです。
医学部を卒業して医師になろうとする研修の徒にとって、この精神、そこから出る雰囲気を感じ取り、知らず知らずのうちに身につけてゆけることがもっとも重要でしょう。そして、これこそ、”聖路加イズム”であり、私たちが誇りに思うものです。

全人的医療のためのコラボレーション

聖路加国際病院は聖路加国際大学と密接に関連しており、同学卒業生が看護を学び、習得する教育の場としても重要な位置づけを持っています。意欲に満ち、すぐれた看護師によるケアと医療側との対等で密接な共同(コラボレーション)、コ・メディカル部門との協調、各専門科間の円滑なコンサルテーションなど、高度化する急性期医療の実践には、コラボレーションは欠くことのできないものです。
患者を軸として展開される、こうした位置づけでの日常的チーム医療の実践。研修医は暖かい雰囲気の中にも緊張感ある連携のあり方を、学ぶことができます。

大学医局からの独立性、出身校に拠らない医局運営

当院の各専門科の(教育)担当(部長あるいは医長)の出身大学は、多岐にわたっており、全科において大学医局から独立した運営がなされています。聖路加のレジデントを経て専門研修→他院での研修あるいは留学による研鑽→当院での責任ある立場での医員として仕事をしている場合がほとんどです。当然の事ながら学閥も存在しません。レジデントの出身校も同様に実に様々です。
教える側も、学ぶ側もともに出身校にこだわらず先入観を持たず、あくまで個人の医療姿勢、人としての患者への対応、誠意、協調、努力、そして技量と技能によって総合評価し、される、という環境の中で卒後教育が行われています。

研修管理委員会:レジデントの教師兼親代わり

聖路加国際病院の卒後医師教育研修システムの歴史は古く、1933年にまで遡ります。その伝統で培われたノウハウを維持発展する元締めとして、当院の研修管理委員会は、病院の多くの活動の中で最も主軸的な位置づけで運営されている組織の一つです。
研修管理委員会はレジデントの採用、研修プログラムの策定、各ローテーションにおける多面的評価と定期、および必要時の面接を実施し、2年間の初期研修過程の修了時近くに行われる研修医業績発表会の主催、ベストセカンドイヤーレジデントの選出および表彰などの活動も行って常時レジデントを鼓舞鞭撻し、時には慰め、悩みを聞くなど、通年にわたる密接的活動をしています。寮生活の後援や指導も含め、いわばレジデントたちの教師兼親代わり的役割を担っています。
また、レジデントの生の声を聞くことも委員会の大切な仕事です。一方通行では良い教育は出来ない、との考えから、レジデント側もローテーション科の指導者や指導体制について評価をする制度があり、これを研修管理委員会として真摯に受け止めて次の教育に生かすようフィードバックしています。

当院の卒後医師研修システムの歴史

1933年(昭和8年)
病院新築と同時に、米国式インターン、レジデント教育制度および中央臨床検査室のシステムを日本で最初に導入したのが当院でした。
1949年(昭和24年)
厚生省からインターン実習病院の指定を受けました。以降、毎年10人内外のインターンを受け入れました。
1952年(昭和27年)
虎ノ門病院、国立東京第一病院(現・国立国際医療センター)と毎月1回合同CPC(臨床病理検討会)をもつようになりました。異なる病院が合同してこのようなカンファレンスを行うことは、それまでの日本ではみられなかったことです。
1967年(昭和42年)
厚生省指導により卒後2年間の研修医制度が発足しました。
1990年(平成2年)
当院では独自のスーパーローテーションシステムによる2年間の前期研修と、それに続く後期のレジデント教育制度を採用しました。これが実質、日本の卒後医師研修過程のモデルとなりました。
1992年(平成4年) 5月
520床の新病院(現在のもの)とともに、大学病院並の全科を備える民間教育病院としての位置づけになりました。これまでの一連の教育には、当院の指導医のほか、我が国最高の各方面の臨床教育指導教授を顧問として招き、また米国から随時現役の臨床教授を招聘し、教育指導の強化に努めてきております。

地域研修協力施設

研修医(ジュニアレジデント)は2年次になると訪問看護ステーションと中央区内、および遠方地域の協力施設で研修を受けることができます。

  • 【精神科病棟研修】
  • 社会福祉法人ロザリオの聖母会海上寮療養所
  • 医療法人社団 碧水会 長谷川病院 
  • 【臨床研修協力施設・中央区】
  • 中央区保健所
  • 医療法人社団 栄晴会 中央内科クリニック
  • 真山クリニック
  • 青栁クリニック
  • 杉野内科クリニック
  • 月島クリニック
  • 銀座ウィメンズクリニック
  • 小坂こども元気クリニック・病児保育室
  • 小池医院
  • 医療法人社団 公和会 日本橋名倉整形外科
  • 医療法人社団 宮﨑会 木挽町医院
  • 医療法人社団 隆風会 藤井隆広クリニック
  • 医療法人社団 中央みなと会 中央みなとクリニック
  • 皮フ科 早川クリニック
  • あさの皮フ科
  • 東銀座 小川診療所
  • 聖路加国際病院 訪問看護ステーション
  • 【臨床研修協力施設・遠方地域】
  • 新潟県厚生農業協同組合連合会 佐渡総合病院
  • 新潟県立松代病院
  • 垂水市立医療センター 垂水中央病院
  • 独立行政法人国立病院機構 東埼玉病院
  • 三重県立志摩病院
  • 紀南病院
  • 町立南伊勢病院
  • 尾鷲総合病院
  • 長崎県上五島病院
  • 長崎県対馬病院
  • 奥州市国民健康保険まごころ病院
  • 長崎県壱岐病院
  • 国立保健医療科学院

研修後進路先

  • 2023年3月研修修了後の勤務先
  • 聖路加国際病院(8名)
  • 東京慈恵会医科大学付属病院(2名)
  • 帝京大学付属病院(2名)
  • 東京医科歯科大学病院(1名)
  • 太田記念病院(1名)
  • 横浜市立市民病院(1名)
  • 横須賀共済病院(1名)
  • 東京医科大学病院(1名)
  • 岡崎医療センター(1名)
  • 都立松沢病院(1名)
  • 独協医科大学埼玉医療センター(1名)
  • 自治医科大学付属病院(1名)
  • 国立国際医療研究センター(1名)
  • 2022年3月研修修了後の勤務先
  • 聖路加国際病院(14名)
  • 国立国際医療研究センター(2名)
  • 東京医科歯科大学病院(1名)
  • 沖縄県立中部病院(1名)
  • 東京大学付属病院(1名)
  • 大阪赤十字病院(1名)
  • 多摩丘陵病院(1名)
  • 滋賀医科大学病院(1名)
  • 姫路赤十字病院(1名)
  • 東京歯科大学市川総合病院(1名)
ページトップへ戻る