聖路加国際病院では、Quality Indicator(QI)を比較・数値化し公開いたします。

  • 急性期医療に関する指標
  • がん診療に関する指標
  • 生活習慣病に関する指標
  • 医療安全に関する指標
  • 病院経営に関する指標

まとめ

救急車受入台数

  1. 指標
  2. 要因分析
  3. 改善策
  4. 結果
  5. まとめ

救急車受入台数

まとめ

病院全体の協力体制

当院が、この数年間で救急車の受入件数を倍増させることが出来たのは、救急患者に関わるさまざまなスタッフが、「1件でも多くの救急車を受け入れられるように」という目標に向けて一致団結した結果だと考えています。そして、目標を掲げるだけでなく、毎朝の「病床管理ミーティング」のような、具体的なアクションを起こしたことが重要だったと考えています。病院長、看護部長をはじめ、医師、看護師、ソーシャルワーカー、医事課スタッフなど、職種をまたいだスタッフが、その日の病床管理について情報を共有し、対応策を議論することによって、救急病床の回転が飛躍的に速やかになったことは前述の通りです。

また、この救急車受入台数の増加というテーマが、当院の事業計画の1つとして掲げられたという点も、職員全体の意識向上に貢献したと考えています。当院には8つの項目からなる「運営の基本方針」があり、その4番目 『地域住民の医療・介護・保健・福祉に貢献するため、地域の医師・他施設との連携を強める』のテーマとして「救急車受入台数の増加」を取り上げました。

このように、病院の方針に沿った目標が示され、それを達成するための具体的なアクションがなされることが、大きな目標達成のためには重要であると考えています。

今後の課題

ERのキャパシティー

現在お断りをしている救急車約3,000件のうち、半分の約1,500件は「ERが満杯」という理由によるものです。

これには2つの要素が関係しています。1つ目は、物理的なベッドの数です。過去3年間で救急車の受け入れ件数は倍増していますが、ERのベッド数に変化はありません。年間10,000人以上の救急患者を受け入れる施設として必要なERのベッド数はいくつなのか?を考えていく必要があります。2つ目はベッドの回転数です。重症の患者さんが増え、ERに滞在する時間が長くなればなるほど回転数が下がります。その結果、「ERが満杯」になる時間が増えてしまいます。回転数を上げていくためにはどのようにすれば良いか、を併せて考える必要があります。

物理的にベッド数を増やすためには、時間とお金がかかります。回転数をあげていくためには、救急の診療プロセスを抜本的に見直す必要があります。どちらにしても、一朝一夕に解決できる課題ではありませんが、継続的に検討を進めていきます。

入院ベッドの有効活用

前年に比べて半減しましたが、いまだに1日平均約2台の救急車を、「病室が満杯であるため」という理由でお断りしています。ところが、当院の520床すべてが埋まっているということは稀で、入院予定、退院待ち、清掃待ち、などの「半空き」状態の部屋や、「重症患者限定」などの、特殊な使用条件を持った部屋などは空いている場合もあります。このような部屋を有効に活用することが出来ないかどうか、こちらも検討を進めていきたいと考えています。