聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

消化器・一般外科

胆道疾患

対象疾患

肝門部領域胆管癌、遠位胆管癌(下部胆管癌)、胆石症・急性胆嚢炎、総胆管結石症など

手術

胆道疾患に対する手術

はじめに

胆道あるいは胆管という臓器に耳馴染みがないという方も多いかもしれません。しかし肝胆膵領域の外科にとってはとても大事な臓器になります。

胆道・胆管(ここからは“胆管”という呼び方で統一します)とは、肝臓、胃、十二指腸、膵臓に囲まれた部分、図1右側のちょうど赤丸で囲った位置にあります。しかし外から見ることができるのは胆管のほんの一部分だけです。

胆管の解剖を詳しく見てみると実際には下の図2のようになります。

胆管とは、肝臓と十二指腸をつなぐ、細長い管状の構造物です。胆嚢はこの胆管の途中につながっています(胆嚢については後で詳しくご説明します)。胆管は途中から膵臓の中を通ります。また胆管が十二指腸に開口する部分では、膵臓からくる膵管とも合流しています。
胆管とはこのようにひと繋がりの管ではあるのですが、我々外科医は便宜的に肝臓側から「肝内胆管」「肝門部領域胆管」「遠位胆管」と分類しています。これも後で詳しくご説明するのですが、胆管癌が発生した場合、部位ごとに適応となる術式が異なるからです。

「胆管は一体どんな働きをしているのか?」というご質問をよく受けますが、一言でいえば「胆汁を流すための管」です。胆汁とは肝臓が作る消化液の一つで、主に食事に含まれる脂肪分の消化・吸収を助けるという働きがあります。この胆汁を肝臓から集めて十二指腸まで流すのが胆管の役目です。

そしてこの胆管に発生する癌が“胆管癌”です。胆管癌は胆管のどこからでも発生しますが、先にご説明した胆管の分類に従って、「肝内胆管癌」「肝門部領域胆管癌」「遠位胆管癌」に分けられます(図3)。

手術を行う場合、肝内胆管癌に対しては主に肝切除術、遠位胆管癌に対しては主に膵頭十二指腸切除術が適応となりますので、それぞれ肝疾患に対する手術、膵疾患に対する手術の項でご説明します。胆管癌に対する手術として特徴的なのは、残る肝門部領域胆管癌に対する手術です。そこでこの項では、主に肝門部領域胆管癌を中心に説明していきたいと思います。

胆管癌の症状

胆管癌は胆管の壁から発生して成長し、やがて胆管を塞いでしまいます。そうすると胆汁の流れが滞り、胆汁の成分が血液中に逆流してしまいます。こうやって生じるのが「黄疸」です。黄疸は他にも肝炎や肝不全が原因で生じる場合もありますので、胆管が閉塞して起こる黄疸を特に「閉塞性黄疸」と呼びます(閉塞性黄疸の原因としてもう一つ、結石がありますがこれは胆嚢疾患の項でご説明します)。

胆管癌の初発症状として最も多いのがこの黄疸で、胆管癌は黄疸や血液検査での肝機能異常を契機に発見されることがほとんどです。
この閉塞性黄疸に対しては、「内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)」と呼ばれる処置が行われます。これは内視鏡を用いて、カテーテルという細い管を胃・十二指腸から胆管、さらには胆管の閉塞部位よりも奥にまで進め、貯まった胆汁を外に逃がすという処置です(図4)。主に消化器内科が担当します。

このカテーテルには鼻から出る長いものと、十二指腸までの短い種類のものがありますが、患者さんの状態に応じて使い分けています。

肝門部領域胆管癌に対する手術

ここから胆管癌に対する手術の詳細になります。先述の通り、肝内胆管癌および遠位胆管癌については、それぞれ肝疾患に対する手術、膵疾患に対する手術でお話しすることになりますので、ここでは肝門部領域胆管癌に対する手術についてご説明します。

先ほどから何度も出てきているこの「肝門部」ですが、ここには胆管だけでなく、腸管からの血液を集める門脈や肝臓を栄養する肝動脈など、さまざまな脈管が複雑に立体交差しています(図5)。

しかもこの肝門部はヒトの体の中でも特に個人差が大きい部位です。胆管の背側を走行するはずの右肝動脈が、胆管の腹側を走行していたり、全く別の部分から分岐していたりといったことはよくあります。「解剖学的破格」と呼ばれますが、これは別に異常であったり、病気であったりするわけではありません。

肝門部胆管癌に対する手術では、このように複雑な解剖に加え、しかも患者さん個人個人の解剖学的破格もある中で、正確に切除するもの、温存するものを区別する必要があります。そのため、消化器外科手術の中でも最も難しい手術の一つです。

当院では肝胆膵手術を受けられる方全例で、下の図6の様に術前CT画像を特殊な解析ソフトで立体構築した3D画像を作成し、実際の手術に役立てています。しかしながら特に肝門部での胆管の走行はCT画像だけでは把握が難しい場合もあります。そこで先ほどのERCPの画像やMRI画像も参考に3D画像の作成を行います(図6)。

図6は実際の肝門部領域胆管癌の症例ですが、本来は右胆管のさらに末梢に合流するはずの後区域枝胆管が、直接肝門部領域胆管に合流するという解剖学的破格がありました。また太い尾状葉胆管枝が肝門部にあることもわかります。そしてこれらの胆管と肝動脈、門脈の位置関係も詳細に把握できます。術前にこの3D画像を詳しく観察・検討することで、肝門部を取り巻く複雑な解剖の中でも、出血の少ない、正確な手術が可能となります。

肝門部領域胆管の中でもどの部分に、どの程度の癌が発生したかによってさらに細かく術式は変わるのですが、今回は主に右胆管を主座とした胆管癌を例にご説明します(図7)。

この図の様に胆管癌は胆管の壁にそって上流・下流へと広がっていく性質があります。そのため胆管癌に対する手術では、癌から十分に距離をとって胆管を切除しなければならず、多くの場合、ただ肝臓を切るだけではなく、胆道再建という手技が必要になります。

肝臓の右側半分と共に下の図8の様に肝門部の胆管・動脈・門脈を切除していきます。

切除が完了すると図9の様になります。肝臓を切った切離面に胆管断端、門脈断端、動脈断端が並びます。胆管の断端は多くの場合、図の様に細い(数mm程度の)切り口が複数できることになります。

ここからが胆道再建と呼ばれる手技です。図の位置で小腸(小腸の中でも口側に近い部分なので、特別に“空腸”と呼ばれます)を切除して、その切れ端を持ち上げ、先ほどの胆管の断端と縫い合わせます(図10)。

胆管空腸吻合は、およそ数mmという細い胆管を、しかも複数本縫い合わせることになるのでとても難しい手技になります。その後に小腸どうしを吻合して(小腸小腸吻合)再建は終了です。
最終的には図10の左側の絵の様に、緑線で示した胆汁の通り道と、赤線で示した食事の通り道が出来上がり、小腸小腸吻合のところで合流する様になります。

これで手術は終了ですが、術後にお腹の中に溜まる腹水や、吻合部から滲み出た胆汁などを体外に出すための管(ドレーンと呼ばれます)を1-2本留置します。このドレーンは早ければ術後2,3日目に抜去します。

手術時間は8〜10時間で、出血量は通常500-1,000mL程度ですが、症例によってはさらに増える場合もあります。手術後の入院期間は、術後の経過にもよりますが、7-14日です。

実際の症例

肝門部領域胆管癌

腫瘍の胆管浸潤の範囲に応じて、右または左三区域切除術、拡大右または左肝切除術などの肝切除と肝外胆管合併切除術、リンパ節郭清を行います。さらに、肝動脈や門脈に浸潤している場合は、合併切除して再建いたします。

肝門部領域胆管癌
肝門部領域胆管癌

遠位胆管癌(下部胆管癌)

膵頭十二指腸切除術と言って、膵頭部、十二指腸、空腸の一部、総胆管、胆嚢をリンパ節とともに切除する術式を行います。なお当科では、胃のほとんどを温存する亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を行っており、術後合併症はほとんどなく、最近は多くの患者さんが術後7〜14日で退院されています。

遠位胆管癌

胆嚢疾患に対する手術

はじめに

胆道疾患に対する手術の項でもお話しましたが、胆嚢は肝臓にぶら下がっている袋状の臓器で、胆嚢管という管を介して胆管の途中につながっています。胆管はその下流で膵臓の中を通り、十二指腸に開口しています。そして十二指腸の壁の中では、胆管と膵臓が作る膵液を流す膵管という管が合流するという解剖になっています(図1)。

胆嚢の主な働きは「胆汁の貯蔵・濃縮・排出」です。胆汁は肝臓が作る消化液で、食事に含まれる脂質の消化・吸収に必要となります。

食事をしていない時、胆嚢は拡張します。また先ほど胆管と膵管が十二指腸壁の中で合流すると説明しましたが、この部分を取り巻く筋線維(括約筋と呼ばれます)が収縮して胆管の出口を閉じます。こうして胆汁は胆嚢の中に蓄えられ、少しずつ濃縮されていきます(図12)。

食事をすると、胆嚢は収縮を始めます。それと同時に十二指腸壁内で胆管と膵管を取り巻く括約筋が弛緩して、出口が開きます。こうして胆汁が十二指腸内に排出され、食事と混ざり合うという仕組みになっています(図13)。

この胆嚢の中に石ができることがあります。胆汁の中に含まれるコレステロールが固まったものや、ビリルビンと言われる色素が固まったもの、またこれらが混ぜ合わさったものもありますが、これらを総称して「胆嚢結石」と呼びます。

胆嚢結石は決して珍しいものではありません。日本人でどのぐらいの方が胆石を持っているのか、正確なことはわかっていませんが、海外では60歳までにおおよそ20%の方に胆石が見つかるとの報告があります。そして胆嚢結石を持つ患者さんの70%以上は無症状のまま寿命を全うすると言われており、胆嚢結石が腹痛などの症状や合併症の原因となるのは20%ほどしかありません。そのため、胆嚢結石があるというだけでは治療は必要ありません。

胆嚢結石が原因で起こる疾患

では胆嚢結石がどの様な症状や合併症を引き起こすのか、下の図14でご説明します。

食事の際などに胆嚢は胆汁を送り出そうと収縮しますが、この時に胆嚢結石が移動することがあります。結石が胆嚢の出口、胆嚢管を塞ぐと、胆嚢は胆汁を排出できなくなります。その状態でさらに胆嚢が収縮しようとするので痛みが生じます。これが「胆石発作」です。発作が食後に生じることが多いのはこのためです。痛みは通常、右の脇腹あたりに出ることが多いのですが、右肩や右の腰背部に出る場合もあります。冷や汗を伴い、数時間持続します。
胆嚢管を塞いだ石が外れて速やかに元に戻れば良いのですが、長時間にわたって胆嚢管を塞いだままでいると次第に胆嚢自体が炎症を起こし感染を合併するようになります。これが「急性胆嚢炎」です。強い腹痛が持続し、嘔気・嘔吐や、発熱が見られることもあります。
また、詳しい理由はよく分かっていませんが、胆嚢の炎症がかなり長い期間に渡ってじわじわと続く方もおられます。このような場合「慢性胆嚢炎」と呼ばれる病態になります。
胆石が小さい場合には、胆嚢管を出て胆管にまで落ちていくことがあります。そして胆管を閉塞した場合、「胆管炎」を引き起こすことになります。腹痛、発熱に加えて胆汁が逆流することによる黄疸が出ることもあります(胆道疾患のところでご説明した閉塞性黄疸です)。
また胆管は十二指腸の出口付近で膵管と合流します。胆嚢結石はこの部分で膵管を閉塞することもあり、「膵炎」を引き起こします。膵炎の原因としてアルコールはよく知られていますが、このように胆嚢結石が原因で起こるものもあります。

胆嚢炎や胆管炎、膵炎は日常診療でもよく見かける病気ですが、いずれも重篤な細菌感染、敗血症を併発して生命に関わる事態を引き起こす場合もあります。胆嚢結石に対する治療は、決して簡単なものばかりではありません。特に重症例では、外科医だけでなく、消化器内科、集中治療科、放射線科などとのチーム医療が必須になります。

胆嚢結石に対する手術

胆嚢結石があって、しかもこれが胆石発作や胆嚢炎、胆管炎、膵炎の原因となっている場合、胆嚢摘出術が適応となります。

胆嚢摘出術ではまず胆嚢を包む膜を切って、胆嚢と肝臓の間を剥がしていきます(図15)。

そして胆嚢を栄養する胆嚢動脈と、胆嚢と胆管をつなぐ胆嚢管を、それぞれ結紮してから切離し、胆嚢を取り出します(図16)。

胆嚢摘出術はこのように非常にシンプルな手術です。しかしながらその手術が行われる場所は、胆道疾患に対する手術の項でご説明した、あの脈管が複雑に立体交差し、解剖学的破格も多い肝門部領域のすぐ傍です。胆嚢動脈や胆嚢管と見誤って、右肝動脈や総胆管といった大事な脈管を損傷してしまう(副損傷と呼びます)リスクがあり、慎重な手術操作が求められます。

特に急性胆嚢炎や慢性胆嚢炎など、胆嚢に炎症を起こしている状態の手術では副損傷のリスクが高くなります。

胆嚢炎では胆嚢の壁が硬く分厚くなって、周囲の組織と癒着します。そのため上の図17にあるように胆嚢と十二指腸が癒着していたり、胆嚢管や胆嚢動脈といった構造が分厚い壁に隠されて非常にわかりにくくなっていたりします。このような状態でも、慎重に操作を進めることで、多くの場合、胆嚢管と胆嚢動脈を処理して胆嚢を完全に摘出することは可能です。ただ炎症が非常に強いと十二指腸や肝動脈・総胆管の副損傷につながる危険性があります。

この様な場合には胆嚢の完全な摘出を諦めて、胆嚢亜全摘(胆嚢の一部分だけを残してそれ以外を摘出することです)に止めます。胆嚢亜全摘術にもさまざまな方法があり、まとめて“回避手術”とも呼ばれますが、代表的なものをご紹介します。まず図17の*のラインより上の胆嚢壁を切除します。そうすると胆嚢管側に少しだけ胆嚢壁が残って、図18のようになります。

次に胆嚢炎の原因となっている胆石を取り出し、胆嚢管の開口部を内側から確認してこれを縫い閉じます。
胆嚢壁や胆嚢の一部分が残存することで、術後に何か問題を起こすことはほとんど無いと言われています。一方で、十二指腸や総胆管、肝動脈を損傷した場合、入院が長期間に及んだり、追加の処置や手術が必要になったりすることもあります。そのような事態を避けるためにも、回避手術は大事な手術選択肢です。

急性胆嚢炎でもごく軽症のものであれば、数日の絶食と抗生剤で治療できる場合もあります。そうして一旦炎症を落ち着けておいてから、後日(多くの場合4-6週間後)胆嚢摘出術を行うことで、急性期に行う緊急手術よりも、安全に手術を行うことができます。

一方で、特に重症の急性胆嚢炎の場合など、胆嚢に対する治療は必要だけれど、強い炎症のために副損傷のリスクが高い、また、患者さんの全身状態があまりに悪いために全身麻酔での手術に耐えられないといったこともあります。この様な場合には経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBDと呼ばれます)という方法を選択します(図19)。

これは超音波とレントゲンを使用して、体の外から(多くの場合肋骨の間からになります)、肝臓を経由して胆嚢に細いチューブを挿入するものです。このチューブから胆嚢に溜まった胆汁を外に排出することで、胆嚢の腫脹を和らげ、炎症を鎮静化させます。そして全身状態の改善を確認し、4-6週間の期間を設けて胆嚢摘出術を行います。ドレナージチューブは手術まで留置しておくことがほとんどです。

急性胆嚢炎の治療についてまとめますと、緊急手術以外に、抗生剤治療と経皮経肝胆嚢ドレナージという選択肢があり、患者さんの状態に応じて適切に使い分ける必要があります。また抗生剤治療や経皮経肝胆嚢ドレナージを行なった場合でも、治療効果が不十分と判断すれば速やかに手術を行う必要があります。当院ではこれらの3つの治療方法をいずれも消化器外科グループが担当することで、安全かつ適切な診療ができると考えています。

上記の様な胆嚢摘出術ですが、当院では主に腹腔鏡で行なっております。これは腹部に小さな穴を4ヶ所あけて、ここからカメラと細い鉗子を入れて行う手術です(図20)。

腹腔鏡手術のメリットは何と言っても、傷が小さいことにより、痛みが少なく、入院日数を短縮できることです。胆嚢炎や、先述の回避手術が必要となる症例でもそのほとんどが腹腔鏡手術で完遂することが可能となっています。一方で、どうしても腹腔鏡では手術が難しいという場合もあります。その時には腹腔鏡手術を中止して開腹手術へ移行することになりますが、上の図20の右側のように右肋骨下の3つの傷をつなげるように20-30cm切開して胆嚢を摘出します。

手術時間は、腹腔鏡下胆嚢摘出術で終了すればおよそ1.5時間。入院日数も手術当日の入院で2泊3日です。開腹移行が必要となった場合、手術時間はおよそ3時間。入院日数も7-10日程度となります。

当院での過去の成績によれば、開腹移行率は予定手術症例で1.6%、緊急手術症例で8.6%、全体では3.5%でした。開腹移行となった症例の約90%が急性胆嚢炎でした。

腹腔鏡下胆嚢摘出術を数多く担当していると、予定手術でも、これまで一度も胆嚢炎の病歴がないはずなのに、実際には胆嚢の高度の炎症と線維・瘢痕化により結局開腹に移行しなければならないという患者さんを経験することがあります。
腹腔鏡下胆嚢摘出術は多くの患者さんにとって安全で、かつ体への負担を最小限にした手術です。一方で胆嚢の状態によっては、副損傷を回避するために亜全摘を選択したり、開腹移行したりする必要があるということは是非ご理解ください。

仮に開腹移行となった場合でも、麻酔科と連携して手術終了時点から適切な疼痛管理を開始します。これにより多くの患者さんで、手術翌日からほとんど苦痛のない状態で起き上がったり、歩行したりすることが可能となっています。

胆嚢摘出術による影響について

最後に、胆嚢を摘出してしまって大丈夫なのか?という質問をいただくことがよくありますのでそれにもお答えします(図21)。

実際のところ、胆嚢摘出による体への影響はほとんどありませんが、まれに食後の下痢・軟便を訴えられる方がおられます。この原因は完全には分かっていませんが、胆嚢が担っていた「胆汁を貯蔵・濃縮し、食事のタイミングに合わせて排出する」という調節機構がなくなり、胆汁の貯蔵・排出サイクルが変化することが影響しているのではないか、と言われています。ただ、下痢や軟便といった症状を訴えられる方のほとんどが、脂質の多い食事を食べた後だけに症状が出たり、症状が出ても日常生活に支障がない程度であったりします。また手術してしばらくすると症状が自然に緩和される方も多くおられます。どうしても強い症状が持続する場合には、胆汁の刺激を和らげるような内服薬の処方で症状の改善が期待されます。

実際の症例

60歳代男性。意識障害とショックバイタルで来院され、精査の結果、重症胆嚢炎の診断となりました。経皮経肝胆嚢ドレナージを施行後、集中治療室に約1週間入室。いったん退院された後、約1ヶ月後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行。

図22左が当院入院時のCT画像です。胆嚢(*)の腫大が認められます。胆嚢管を塞いだ結石も確認できますが、このように小さな結石でも重症胆嚢炎の原因となる場合があります。図22右は経皮経肝胆嚢ドレナージ時の所見です。ドレナージチューブが胆嚢に挿入されています。胆嚢内に複数の結石が確認されました。

総胆管結石症

最近は、内視鏡で摘出することが多く、内視鏡で摘出できない場合には、手術で摘出します。開腹して、総胆管を切開し、総胆管内の結石を取り除き、胆石の原因となる胆嚢も摘出します。

担当スタッフ

海道 利実

肝門部領域胆管癌や遠位胆管癌、胆石症などの、多くの胆道疾患の手術を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。

宮地 洋介

聖路加国際病院で受けられる胆道外科治療の特徴

当院には外科医だけでなく、内科医も麻酔科医も一流の専門家が揃っています。患者さんにとって適切な医療を提供できるよう、専門家が個々の患者さんに寄り添って治療法を提案・実施しています。
また、看護師・栄養士・理学療法士・言語聴覚士・ソーシャルワーカーなどの専門家も、入院・手術の前から、入院中・退院後も一丸となって療養生活をサポートしています。

 

年齢・心臓病など他の病気のために「手術・治療が実施できない」と言われた方であっても、当院では可能な場合もあります。
まずはお気軽にご相談下さい。

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