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ぶどう膜外来
■ ぶどう膜外来では眼の一部または全体に炎症がある病気を診断・治療します。眼局所における炎症の場合も、全身疾患との関連がある場合もあります。
ぶどう膜炎の概要
ぶどう膜とは虹彩、毛様体、脈絡膜のことをさし、ぶどう膜炎とはその一部または全てに様々な原因で炎症を生じる疾患です。症状は視力低下、霞目、眼痛、充血といった症状や、黒い点がみえる飛蚊症や光がまぶしく見えたりするなど多彩です。また、急速に進行したり、慢性的に再発や寛解を繰り返したりと原因や個人によって経過が異なります。ぶどう膜炎は病状によっては失明につながることもあり、早期に専門医師によって適切な治療を開始することが大切な疾患です。
ぶどう膜炎では、眼球の前眼部(前房)から後眼部(網膜・眼底)まで、どこにでも炎症が起こり得ます。全身の病気と関連するものもあり、総合的に診察して治療方針を決める必要があります。
下に所見の例を載せます。
ぶどう膜炎の前眼部所見
(前房内や角膜の後面に炎症細胞が見られます)
急性網膜壊死では網膜(眼底)に炎症がおこり、
網膜が壊死することがあります。
ぶどう膜炎の原因
ぶどう膜炎は様々な原因疾患によって生じ、また30~50%程度は原因不明といわれています。来院されたら、眼の検査だけでなく、全身の検査を行うことも珍しくありません。
ぶどう膜炎の原因には、自己免疫疾患、感染、悪性腫瘍といった全身疾患に伴うものもあり、眼科以外の内科や皮膚科、耳鼻咽喉科をはじめとする他科と連携した治療が重要となります。非感染性のぶどう膜炎の原因としては「3大ぶどう膜炎」と呼ばれるサルコイドーシス、ベーチェット病、フォークト-小柳-原田病があります。リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患に関係するものもあります。感染性では単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、結核菌、トキソプラズマ、梅毒などがあります。
検査は一般的な眼科的な検査に加え蛍光眼底造影検査が有用であり、また全身検査として血液検査、胸部レントゲン写真撮影、ツベルクリン反応検査などを行います。必要に応じて、前房水のPCR検査を施行することもあります。
ぶどう膜炎の治療
原因疾患に応じた適切な治療が必要となります。ステロイド薬の点眼や局所注射、また内服や点滴による全身投与も行い、病状によっては免疫抑制剤を用いることもあります。また当院ではベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎に対するインフリキシマブ(レミケード®)を用いた治療だけでなく、難治性の非感染性の中間部、後部又は汎ぶどう膜炎に対してアダリムマブ(ヒュミラ®)を用いた治療も可能です。
当院は内科はじめとする各科との素早い連携により迅速に診断し治療を開始することが可能です。
またぶどう膜炎の併発症として網膜剥離、硝子体混濁、網膜前膜、併発白内障、続発性緑内障をきたすことがあります。これらに対しては外科的治療が必要となる場合があります。当院では難治性の症例に対しても先端的な知見や技術を用いた極小切開による網膜硝子体手術(サージカルレチナ外来の項参照)による専門的加療が可能です。
急性網膜壊死 硝子体手術前の眼底写真
薬物治療に加えて硝子体手術を行われ、
上の眼底写真のように、病状は落ち着きました。