医療の質の改善活動において重要なことは、1つの指標を様々な切り口で分けて分析をすることです。本指標では、同意書取得率を診療科ごとに分けてみたところ、課題となる診療科は小児科であることが分かりました。
診療科別以外にも、病棟別、職種別、医師別、月別、曜日別、時間別、入院・外来別など、病院のデータを分析する切り口にはさまざまなものがあります。その指標に適した切り口を見つけ出し、さまざまな角度からデータを分析することで、解決策の糸口が見えてきます。
「同意書を100%取ろう!」と声をかけてみても、大抵の場合、大きな変化はあまり期待できません。今回のケースでは、同意書を取得する場所を放射線腫瘍科にしたことと、同意書を確認するタイミングを照射の位置決め前に統一したことの2つのルール改訂が、改善につながったのだと考えています。
多くの人の意識を統一することはとても難しいですが、ルールを変えることで多くの人の行動を変えることは可能です。
この指標の達成率は、もともと98.4%と非常に高く、残り数件を、いかに漏れなく実行するか、ということが課題となっていました。前述の通り、同意書取得の場所と確認のタイミングを変えることで改善することは出来ましたが、未だ100%を達成することは出来ていません。
たとえルールを変更し、それを徹底したとしても、人間のすることですので、ミスもあれば漏れも出てきます。今後は、そのようなミスや漏れによる未取得を感知して、医療者に対して取得を促す、いわゆる「ポカヨケ」や「フールプルーフ」の仕組みを導入する必要があると考えています。