聖路加国際病院では、 Quality Indicator(QI)を比較・数値化し公開いたします。

まとめ

糖尿病患者での血糖コントロール

  1. 指標
  2. 要因分析
  3. 改善策
  4. 結果
  5. まとめ

糖尿病患者での血糖コントロール

まとめ

医師の積極的関与

勉強会を開催しても、その内容を聞いてほしい人が勉強会に参加してくれなければ意味がありません。特に、治療に直接かかわる医師の積極的な参加が重要です。

「(3)改善策」でご紹介したように、当院では64人もの医師が勉強会に参加しました。自らの診療行為を更に高いレベルに引き上げたいという積極的な姿勢が今回の大幅な質向上につながったと言えるでしょう。

徹底したデータ分析

患者さんの血糖値、主治医の名前、処方された薬剤の種類、などが全て電子カルテに記録されていなければ、今回のような成果を出すことが難しかったと思われます。必要なデータがすぐに分析可能な状態で抽出できる、電子カルテの存在は、今後のQI活動の中で、ますます重要になっていくでしょう。

また、それらの膨大データを正確かつ迅速に分析をするスタッフの存在も重要です。当院では、診療情報管理士を中心とした「医療情報解析室」を設置し、さまざまなデータ分析を担当しています。

今後の課題

更なる改善

(1)「指標」で示した通り、米国の指標との比較においては、当院の値は既に高いレベルに達しています。また、当院は医療連携を促進するため、血糖値が改善した患者さんは、近隣の診療所へ紹介する活動に力を入れています。したがって、「当院を受診中の患者群=血糖コントロールが改善されていない群」、ということになります。この2つの理由から、本指標の更なる改善は難しい状況にあると言えます。

しかし、改善の余地が全くないわけではありません。医師による処方内容のバラツキはまだあります。どの患者さんが、どの医師にかかっても、同じ診療を受けることが出来るようになるのが、我々の理想です。

継続すること

糖尿病の治療方法は日々変化し、新しい薬剤も次から次へと開発されています。また、当院のような教育病院には、毎年4月になると新しい医師・看護師が入職してきます。年に数回の勉強会の開催に加えて、日々の診療の中で、専門医が持つ最新の情報を、その他の医療者に迅速かつ正確に伝える仕組みを構築することが、血糖コントロール率を継続的に改善していくうえで重要だと考えています。