聖路加国際病院では、Quality Indicator(QI)を比較・数値化し公開いたします。

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指標

降圧薬使用者における血圧コントロール

  1. 指標
  2. 要因分析
  3. 改善策
  4. 結果
  5. まとめ

降圧薬使用者における血圧コントロール

降圧薬使用者における血圧コントロール 65歳以上:<140、<90
降圧薬使用者における血圧コントロール 30歳以上65歳未満:<130、<85

高血圧症は日本人の動脈硬化性疾患における危険因子です。メタボリック症候群、糖尿病や脂質異常症を合併する場合はさらに早期から血圧コントロールが重要になりますし、腎臓、心臓、脳などの臓器障害をともなう場合はより積極的に降圧が必要になります。

高血圧症の治療目標として日本高血圧学会が発表している高血圧治療ガイドラインがあります。2009年版では高齢者は診察室血圧で140/90mmHg未満、若年者・中年者は130/85mmHg未満としています。ただし、病院での血圧値は、実際の家庭血圧よりも高い場合(白衣高血圧)や低い場合(仮面高血圧)があるため、実際の処方においては家庭血圧や24時間血圧測定を参考にする必要があります。

「降圧薬使用患者における血圧管理」は、当院における降圧薬使用患者さんを対象に、診察室血圧を指標にどの程度までガイドラインに達しているかを横断的にみた指標です。65歳以上と65歳未満の患者さんにわけて電子チャートから外来診察時の血圧値をモニターし、ガイドラインの目標値以下になっている患者さんの割合を算出しました。

医師の処方行動においては、1回の診察室血圧の数字だけではなく、動脈硬化の一次予防か二次予防か、あるいは慢性腎臓病や糖尿病があるかないかなど、患者さんごとのリスク評価は欠かせません。また患者さんのアドヒアランス(服薬遵守)を維持するためには降圧の目的を十分理解していただく努力が必要です。しかし新しいガイドラインでは日本人のエビデンスも含めて心血管イベントの予防というよりよいアウトカムを得るためには、より早期から、持続的に積極的な降圧が必要と考えられています。