聖路加国際病院では、Quality Indicator(QI)を比較・数値化し公開いたします。

指標

腎機能コントロール

  1. 指標
  2. 要因分析
  3. 改善策
  4. 結果
  5. まとめ

腎機能コントロール

腎機能障害患者における適切な薬剤処方割合

慢性腎臓病の患者さんは人口の5~20%もいると報告されています。特に日本では、腎機能の低下を示す糸球体濾過値(GFR)が60ml/min/1.73m2以下に属する患者さんが、人口の20%にのぼるとの報告もあります。慢性腎臓病は自覚症状に乏しく、緩やかに進行し、最終的に透析を必要とする末期腎不全に移行したり、あるいはそれ以前に心血管系の病変により不幸な転帰をもたらすこともあります。慢性腎臓病の進行を抑制するためには、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を用いた降圧療法によって、血圧を130/80mmHg以下にコントロールすることが勧められています。

米国で行われた慢性腎臓病患者1658名を対象とした研究では、慢性腎臓病患者でACEIを処方されている患者の割合は34%、このうちクレアチニン(Cr)値が4mg/dl以上の患者は15%と報告されています。当院における推定GFRが60ml/min/1.73m2以下の慢性腎臓病患者さんのうち、ACEI・ARB処方率は米国の参考値を上回っています。これらの患者のさんなかには血圧正常、蛋白尿陰性の患者さんも含まれるので、高血圧の慢性腎臓病患者さんにおけるACEI・ARB処方率はより高値であると考えられます。