聖路加国際病院では、Quality Indicator(QI)を比較・数値化し公開いたします。

まとめ

急性心筋梗塞のPCIまでの時間

  1. 指標
  2. 要因分析
  3. 改善策
  4. 結果
  5. まとめ

急性心筋梗塞のPCIまでの時間

まとめ

全体最適の重要性

急性心筋梗塞の患者さんのPCI実施までの時間を短縮することの重要性は、誰もが認識しています。治療に関わる全てのスタッフが、1分1秒でも早く患者さんを治すために働いています。「03対策案」で紹介した 「医師が心電図を読むスキルをアップする」というのは、個人のパフォーマンスを高めるための取り組みです。

そして、個人の能力を高めると同時に、全体を最適化するための取り組みも重要です。今回のケースでは、「急性心筋梗塞の疑いのある患者の場合は、血液検査の結果を待たずに循環器専門医を呼んでも良い」というルールを作ったことがその例です。この場合、血液検査の結果、急性心筋梗塞ではなかったということもあり得ますので、呼び出される循環器専門医にとっては、必ずしもベストの仕組みとは言えないかもしれません。しかし、「血液検査待ちの時間」と、「循環器専門医の移動時間」を重ねることにより、 PCI実施までの時間を短縮することが出来るのです。

今後の課題

患者数増加への対応

当院では、今後さらに心臓・血管治療の分野に力を注いでいきたいと考えており、大幅な施設改築も含めた計画を策定中です。この計画が実現され、軌道に乗る頃には、PCIを必要とする患者さんが、これまでの何倍も当院を訪れることになります。そのような状況になった場合でも、質を落とすことなく治療を実施できるような体制づくりが課題になってくると考えています。

より迅速な対応

現在は「90分以内にPCIを実施」としていますが、急性心筋梗塞が発症してから、PCIを実施するまでの時間が早ければ早いほうが、治療のアウトカムが良くなることは、数々の研究で証明されています。そのため、「90分以内に何%」という指標に加えて、「実施までの平均所要時間を何分以内に」という切り口で指標を見ていく必要もあるのではないかと考えています。