聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

心血管センター(循環器内科・心臓血管外科)

心臓内の孔が原因の脳梗塞のカテーテルによる予防

心臓内の孔(卵円孔開存)における脳梗塞

日本人の約4-5人に1人は心臓に小さな孔が空いていると言われています。孔自体は小さいため、心不全などの命に係わる病気を起こすことはありません。ただし、長時間座ったままでいると足の静脈に血栓ができて動いたときに血栓が心臓まで飛んでしまい、さらに小さな孔を通過してしまうと、左心房⇒左心室から全身に血栓が散布されてしまい、脳の血管に詰まってしまうと脳梗塞になってしまいます。いわゆるエコノミー症候群が脳梗塞も起こしてしまうことになりうる状態になります。特に若い年齢で脳梗塞を起こすこともあり、脳梗塞を起こすと大きく生活に悪影響を与えてしまうため、再発の予防が必要です。

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再発の予防

卵円孔開存をもっている方が脳梗塞をおこす確率は低いため、脳梗塞を起こしたことがない方は薬やカテーテルでの予防の必要はありません。なるべくエコノミー症候群を起こさないように水分をこまめにとったり、1時間に1回は立って歩くことをしていただくことによってエコノミー症候群は予防できます。ただし一度脳梗塞になった方は、空いている孔の形が脳梗塞を起こしやすい形であるため、2回以上繰り返す可能性が高いと考えられています。よって、予防が必要です。

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予防方法

薬剤治療とカテーテルによる治療があります。薬剤治療は抗凝固剤の内服治療です。ところが、抗凝固剤によって1年に約3%、心血管にステントが入っている場合は抗血小板剤も内服が必要なため、2剤内服すると年間約5%の方々が何らかのひどい出血を起こしています。特に若い方々は一生抗凝固剤を内服する必要があるため、大きな出血をしてしまう可能性は高いと考えられます。また、重いものを持ったり激しい動きをするため、けが等で出血しても止血が困難となることも考えられます。カテーテル治療は、そういった抗凝固剤を内服せずに脳梗塞の原因である孔を閉鎖することによって、脳梗塞を予防する新しい治療法です。海外の大規模試験では薬剤と同等に脳梗塞を予防して、大きな出血を起こしにくくなっている分、長期成績が良いという報告があります。

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カテーテルによる治療方法

足のつけ根から4mmほどの管を入れ右心房にカテーテルを入れて、右心房から孔にカテーテルを通過させ左心房にカテーテルを入れ、左心房から右心房へ2枚の円盤状の閉鎖栓を入れて両方から抑え込むようにして孔を塞ぎます。3か月ほど抗血小板剤を2剤内服後、一定期間抗血小板剤1剤へ切り替えた後、血栓に対する薬を終了することもできます。

デバイス 卵円孔イメージ 装着イメージ

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合併症

カテーテル手技の中では最も合併症の少ない手技になります。0.5%程度の確率で左心房に傷がついて出血したり、閉鎖栓が左心房内へ抜け落ちてしまうことがあります。また、卵円孔が完全に閉鎖されていても、動脈硬化性の脳塞栓は予防できないため、脳梗塞を起こしてしまうことがありますので、血圧、血糖、脂質のコントロールが必要になります。また、0.5-1%の頻度で不整脈が起こってしまうこともあります。

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入院期間と費用

基本入院期間は3泊4日です。ただし、入院期間は状態によって変わります。短期入院を希望される場合は、手技当日入院で2泊3日も可能です。費用は保険適応で、各種保険の定めた上限以上は返還されることとなります。退院の翌週から条件付きで就労可能となりますので、仕事をしていらっしゃる場合でも短期の休業で復帰可能です。

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窓口

循環器内科SHD外来を受診お願いします。

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