褥瘡は、患者のQOLの低下をきたし、結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。そのため褥瘡予防対策は患者に提供されるべき医療の重要な項目のひとつとなり、1998年から診療報酬にも反映されています。
当院では1996年以降、看護部の褥瘡ケア検討会を中心に、褥瘡発生率や有病率などのデータを蓄積しています。看護師の褥瘡に関する学習会も1990年から毎年実施され、基本的な予防的ケアは実践されています。その結果、褥瘡の有病率は2006年に日本褥瘡学会が全国規模で実施した実態調査の平均値(一般病院については2.24%)より低くなっています。
院内での褥瘡の新規発生率を図に示します。
褥瘡の新規発生率については、日本国内では一定の算出方法がありませんので、入院中に褥瘡が発生した患者数を、在院患者の総入院日数で割った数字を指標としているオーストラリア保健医療標準評議会(Australian Council for Healthcare Standards:ACHS)の方法を採用しました。ACHSの2007年のデータは0.082で、当院の2008年のデータは0.066でした。