本指標のゴールは、当院で降圧薬を処方されている患者さんの血圧コントロール率を高めることですが、その前提となる血圧データが正しく蓄積・抽出されないことには、現在の正確なパフォーマンスさえ知ることが出来ません。そこで、当院では、本指標の中間指標として「血圧入力率」を設定しました。
このように、ある指標を改善するために、別の中間指標を設定することは、実際に行動を変える必要のある医療スタッフにとっては、とても重要です。「血圧コントロール率を高めよ」と言われても何をすれば良いか分からない人が多いと思いますが、「血圧の入力率を高めよ」と言われれば、具体的に何をすれば良いかが見えてくるからです。
全体介入と個別介入の両方を実施したことが成果につながったと考えています。まず、病院全体で「血圧値を管理することが大切なのだ」という雰囲気を作り上げることが必要です。このプロセスを飛ばして、個別介入をしても、介入の効果は限定的です。しかし一方で、全体介入だけでは不十分です。全体介入で機運を盛り上げておいたところに、パフォーマンスの低い職員に個別に介入する。この両方が揃ってはじめて、高い介入効果が出ると考えています。
これまでは、血圧コントロール率を算定するための基礎となる「血圧入力率」を高めることを目標としてきましたが、今後は、当初の指標である血圧コントロール率:
の改善が目標になります。
血圧入力率を高めるための対策と、血圧コントロール率を高めるための対策では、そのアプローチが全く異なります。なぜなら、血圧入力率を高めるためには、院内職員への働きかけだけで良かったのですが、血圧コントロール率を高めるためには、患者さんの協力が不可欠になるからです(例えば、医師が処方した薬剤を患者さんが飲まなければ、血圧は改善しません)。
これまでに、「転倒・転落発生率」や「糖尿病患者での血糖コントロール」など、患者さんに対する働きかけを必要とする指標はいくつもありました。それらの指標を改善した経験を活かしながら、降圧薬使用者さんの血圧値の改善に努めていきます。