聖路加国際病院では、 Quality Indicator(QI)を比較・数値化し公開いたします。

まとめ

処置テンプレート記入率

  1. 指標
  2. 要因分析
  3. 改善策
  4. 結果
  5. まとめ

処置テンプレート記入率

まとめ

中間指標の設定

「危険処置による合併症発生率を低減させること」が、本来の目的です。しかし、現在のように、実施した処置件数の半分しかデータ抽出できない(正確には、データ抽出可能な状態での記録がなされていない)状況では、合併症発生の根本原因を特定することが出来ず、発生率低減のための適切な対策案を講じることができません。そこで、中間指標として「処置テンプレート記入率」を高めることを、当面の目標に設定しました。

ある指標を改善しようと思ったとき、「データが抽出できない」という理由であきらめるのでなく、このような中間指標を設定することが、有効な第一歩となります。

入力の仕組みづくり

「(3)改善策」で示したように、様々な対策を実施しましたが、一時的には効果があるものの、介入の手を緩めると、すぐにトーンダウンしてしまうことがわかりました。

このような、医療者各自の「意識付け」だけに頼る改善方法には限界があるようです。記入率100%を達成するためには、「記入せざるを得ない仕組み」を構築する必要があると考えています。

今後の課題

「記入率向上」から「合併症発生率低減」へ

記入率を高める活動と並行して、今後は、合併症そのものを減らす活動にも力を入れていく必要があります。

これまでに収集した合併症データの分析結果によると、処置の種類、実施場所、担当した医師などによって、合併症の発生率にバラツキがあることがわかっています。今後、テンプレートの記入率が高まってくれば、そのバラツキが発生する根本原因を、更に高い精度で明らかにすることができるようになります。根本原因を特定することができれば、合併症発生率低減に向けた、より具体的な対策を実施することができます。

処置技術向上のための取り組み

最も直接的な対策が、医師の処置技術を高めることです。現在当院では、処置の中でも最も標準的におこなわれている処置の1つである、CVC(中心静脈カテーテル)挿入術について、院内認定医制度を整備するよう準備を進めています。医療安全管理委員会を中心に、教育研修部、麻酔科、内科、外科からの代表者で作業チームを作り、新年度からの導入に向けて、多面的な検討を進めています。