当院は、「聖路加国際病院附属クリニック 予防医療センター」を併設しています。このクリニックでは、40歳以上の女性に限定しても、年間約15,000件の乳がん検診を実施しています。受診率の向上にも力を入れており、2008年には40歳以上の女性受診者の86%以上が、マンモグラフィまたは超音波の検査を受けました。こうした早期発見強化への取り組みの成果もあり、日本全体では約10%と言われている非浸潤(しんじゅん*)率が、当院では20%以上になりました。
当院では、手術の前に化学療法で腫瘍を小さくする治療法(ネオアジュバント療法)を積極的に取り入れています。この治療法は全ての方に効果があるというわけではありませんが、成功率を高めるための努力をしています。2008年は、化学療法を実施した約20%の患者さんで腫瘍が縮小し、乳房切除を回避して乳房温存手術に切り換えることができました。
必要最小限の腫瘍を切除するためには、腫瘍の範囲を正確に特定することが重要です。当院では、手術前に改めてMRI検査や超音波検査を実施し、より正確な切除範囲を特定するようにしています。
*浸潤=がんがまわりに広がっていくこと。水が少しずつしみ込んでいくように,次第にがん細胞が周囲に入り込み,拡大していきます。