聖路加国際病院では、Quality Indicator(QI)を比較・数値化し公開いたします。

まとめ

乳癌患者での乳房温存手術の割合

  1. 指標
  2. 要因分析
  3. 改善策
  4. 結果
  5. まとめ

乳癌患者での乳房温存手術の割合

まとめ

高い温存率

報道機関の調査によると、2007年の全国の病院での乳房温存率の平均値は65%*でした。当院の規模や、患者さんの重症度を考慮すれば、75%~80%という温存率は、全国的にも高いレベルにあると考えています。
*出典:Yomiuri Online(外部リンク)

チーム医療の実践

乳房温存手術に際し、当院では、乳腺外科医、腫瘍内科医、放射線科医、病理医、形成外科医がチームを組んで治療にあたっています。さらに、専門看護師、化学療法認定薬剤師などを含めた体制で治療をおこないます。このようなチーム医療の実践が、高い温存率を可能にしている要因の一つだと言えます。

今後の課題

高い温存率の維持と追加切除率・局所再発率の減少

乳房温存率は、高ければ高いほど良いというものではありません。乳房を温存するためには、腫瘍の切除範囲を可能な限り小さくする必要があるため、本来切除すべき腫瘍を取り残してしまうリスクを伴います。

手術後の病理検査で腫瘍を取り残していることが判明した場合、追加で切除手術を実施することもあります。そこで、温存率とともに、追加切除術を実施した割合(追加切除率)を併せて評価する必要があります。また、術後の病理検査では問題が無くても、しばらく経ってから「局所再発」という形で、がんが再発するケースもあります。この、局所再発の原因の1つが、温存時の取り残しにあると言われています。

今後は、現在の高い乳房温存率を維持しながら、追加切除率や局所再発率を低く抑えていくための努力が必要になってくると考えています。(このように、ある指標を別の視点から評価することを、バランシングメジャー:Balancing Measureと言います)