2008年の乳房温存手術件数は、前年に比べて89件(19%)増えて577件となりましたが、全手術件数に占める割合は5.2ポイント減少し、74.8%となりました(図1)。
温存手術の対象となりやすい、3cm以下の早期癌の状態で発見される「早期発見率」は、過去3年間約70%と横這いで、早期発見率の増加による温存率の向上は、やや頭打ちの状態です。
抗がん剤治療で腫瘍を小さくしてから、温存手術を実施することもできます。そのような、手術前の化学療法実施件数は、昨年に比べて41件(24%)増えて211件となりましたが、全手術件数がそれ以上に増加したため、「術前化学療法実施率」はわずかに減少して27%でした。この値も、過去3年間、ほぼ横ばいの状態です(図2)。今後新しい抗がん剤が登場することで、手術前の抗がん剤治療の効果によって温存手術が可能になる患者さんの数が増えていく可能性はありますが、現在保険適応のある標準治療の範囲内では、このあたりが上限と考えられます。