聖路加国際病院では、Quality Indicator(QI)を比較・数値化し公開いたします。

まとめ

腎機能コントロール

  1. 指標
  2. 要因分析
  3. 改善策
  4. 結果
  5. まとめ

腎機能コントロール

まとめ

個別介入の重要性

個々の医師がガイドラインや最新の医学知識を十分に習得しても、直ちに実際の診療に反映されるとはかぎりません。病院全体、部門別の指標を提示するだけではなく、今回のケースのように、個人別のRAS阻害薬処方割合をフィードバックすることにより、医師一人ひとりの改善意識を高めることが出来たと考えています。

改善に直結するデータの提供

指標を提示するだけではなく、具体的な行動変化につながるデータを提供することが出来れば、より速く、より高いレベルで、改善の効果があらわれます。

今回のケースでは、未処方患者のリストを配布したことにより、具体的にどの患者さんにRAS阻害薬を処方するべきなのかを医師に伝えることが出来た点が、指標の改善につながったと考えています。

今後の課題

腎臓内科以外の診療科への展開

今回は、対象となる慢性腎臓病の患者さんを最も多く(全体の約60%)診察している腎臓内科の医師に限定して介入を実施しました。同じような取り組みを、他の診療科の医師にも展開していくことによって、病院全体の質向上につながっていくものと考えています。

指標の見直し

今回評価した指標は、腎機能障害(eGFR<60ml/min/1.73㎡)のある患者さんに対して腎保護作用のあるRAS阻害薬を適切に処方しているかどうか、というものでした。しかし、腎機能障害が出現する前にRAS阻害薬を処方すれば腎障害の発生を未然に防ぐことができると考えられます。そこで、今後は、腎機能が正常範囲であっても、糖尿病や高血圧があり、RAS阻害薬の適応がある患者さんに対してより早い段階での処方率を高めるように介入をしていきたいと考えています。