聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

呼吸器センター(呼吸器内科・呼吸器外科)

間質性肺炎と診断された方へ

間質性肺炎とは

一般的な肺炎は、微生物に感染することで肺に炎症が生じ、画像検査で肺に白い陰影が出現します。多くの場合、感染が改善することで肺の白い陰影は完全に消失します。
一方、間質性肺炎の場合は、何らかの原因で肺に慢性的な炎症がじることで、次第に肺が硬くなり(線維化)、肺が縮んで容量が少なくなることが特徴です。病気が進行すると、咳嗽や労作時の息切れがひどくなることがあります。また急性増悪を引き起こし突然命にかかわることがある病気です。

間質性肺炎:慢性的な肺の炎症により線維化が生じ、徐々に肺の容量が減っています

特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022(改訂 第4版)より

急性増悪:急性の経過で両側の肺に新規に白い病変が広範に出現し、呼吸苦が増悪して、酸素投与が必要となったり緊急入院となる場合があります

特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022(改訂 第4版)より

間質性肺炎の原因検索

間質性肺炎の治療を行う上で、原因特定が最も重要となります。主なものを表に示します。生活環境や職業歴が、原因を特定する上で手掛かりとなることがあります。また関節リウマチに代表される膠原病は、自分の免疫が自分自身を攻撃してしまう疾患であり、全身の様々な部位に些細な症状が現れることがあります。担当医師が一つずつ丁寧に診察していき、原因を特定していきます。
原因の検索のため、必要時は内視鏡にて肺の組織を採取する生検を行う場合がありますが、当院ではできる限り負担の少ない、血液検査や画像検査で原因が特定できるように心がけております。

間質性肺炎の原因の主なもの

職業・環境性肺疾患 膠原病関連 医原性肺疾患
過敏性肺炎(カビ、鳥関連、加湿器肺)
じん肺(石綿、シリカ、金属の吸入)
喫煙
関節リウマチ
全身性強皮症
多発性筋炎/皮膚筋炎
血管炎
薬剤性肺炎
放射線肺臓炎

当院で行える治療法

抗線維化薬(オフェブ®、ピレスパ®)

原因を特定し適切な治療を行ったとしても、間質性肺炎が進行し、呼吸器症状が悪化する場合があります。この場合、抗線維化薬の適応となります。ピレスパ®は2008年、オフェブ®は2015年に保険承認となった抗線維化薬のひとつであり、線維化の進行を抑え、急性増悪を予防する効果があります。特発性肺線維症、全身性強皮症に伴う間質性肺炎、進行性線維化を伴う間質性肺炎の場合、本治療薬が選択肢となります。
当センターでは経験豊富な医師のもとで、抗線維化薬が適応になる間質性肺炎であるか否か、的確に診断を行います。
その他、ステロイドや免疫抑制剤を使用することもあり、専門医のもとで必要性を慎重に診断します。

間質性肺炎 | 聖路加国際病院呼吸器センター(東京都中央区)のお知らせ

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