聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

呼吸器センター(呼吸器内科・呼吸器外科)

重症喘息

重症喘息とは

通常気管支喘息の治療には、吸入ステロイド、気管支拡張薬などの吸入薬を使用しますが、これらの治療にもかかわらずコントロール不良である場合を、重症喘息と呼びます。

提供:グラクソ・スミスクライン株式会社

最近さまざまな生物学的製剤、気管支サーモプラスティ治療(気管支熱形成術)が使用できるようになり、重症喘息の患者さんにおいてもこれらの治療により症状の改善が期待できるようになりました。患者さん一人ひとりにあった適切な治療をご提案することが可能です。お気軽に呼吸器内科医師にご相談ください。

当院で行える治療法

生物学的製剤

生物学的製剤とは、アレルギーの生じる経路を特異的に抑えることができる注射製剤になります。現在では、ゾレア®、ヌーカラ®、ファセンラ®、デュピクセント®、テゼスパイア®の5種類の生物学的製剤が本邦で承認されており、それぞれ作用の仕方や適応が異なります。患者さん一人ひとりのアレルギーのタイプを理解しながら、適切な生物学的製剤を使用し、喘息の症状のコントロールを目指します。

当院では現在までに150名以上の喘息患者さんに生物学的製剤を継続処方してきました。

生物学的製剤 作用
ゾレア®(抗IgE抗体) IgEの働きを抑えます
ヌーカラ®(抗IL-5抗体) 好酸球の働きを抑えます
ファセンラ®(抗IL-5受容体抗体) 好酸球の働きを抑えます
デュピクセント®(抗IL-4/13受容体抗体) より上流のアレルギー経路を幅広く抑えます
テゼスパイア®(抗TSLP抗体) より上流のアレルギー経路を幅広く抑えます

在宅自己注射について

ヌーカラ®、デュピクセント®については、患者さんご自身がご自宅で注射を行う、「在宅自己注射」が可能です。通院の頻度が減り、患者さんの負担を軽減することができます。当院では、患者さんが安心して在宅自己注射が行えるよう、自己注射指導体制を整えております。

気管支サーモプラスティ(気管支熱形成術)

1. 診断、病状、治療の必要性

高用量の吸入ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬を使用しても喘息症状がコントロールできない18才以上の重症喘息患者さんに対し、喘息症状の緩和を目的として行います。

2. 治療の内容

概要
重症喘息で肥厚した気道平滑筋を、気管支鏡下に専用のカテーテルを用いて65℃に温めることで気道平滑筋を減少させ、気道収縮を抑制します。

手技
気管支鏡は、直径3~6mm程度の細くて柔らかい管で、胃カメラとよく似た構造ですが、胃カメラと比べると大変細くできています。
まず検査前に、口からのどに霧状の麻酔薬をスプレーして不快感を取り除くようにします。
その後、点滴から静脈麻酔を行いますので、半分眠ったような状態で検査を進めていきます。
ベッドに仰向けになった状態で、口からのどを通して気管支まで気管支鏡を挿入します。検査中は適宜麻酔薬を気管・気管支内に散布したり、静脈麻酔を追加したりします。最初のうちは咳が出ますが、麻酔が効いてくると治まってきます。
気管支鏡を介して専用のカテーテルを挿入し、65℃で10秒間通電して気管支壁を加温します。末梢の気管支から5mm毎にカテーテルを引き抜きながら通電を繰り返します。1回の治療でおよそ40~70回程度の通電を行います。

3. 治療により期待される効果

治療1年後において、喘息関連QOL(生活の質)の改善が79%にみられ、重度の喘息発作が32%減少、喘息による救急外来受診が84%減少しました。また、治療10年後においても効果が同等に持続することが報告されています。

当院での治療の実際:1回の治療で全ての気管支を治療することはできないため、右肺下葉の気管支、左肺下葉の気管支、両肺上葉の気管支の3回に分けて治療を行います。各治療は3週間以上の間隔を空ける必要があるため、全部の治療で2か月かかります。
治療は全身麻酔下で眠った状態で行います。治療時間は、1回あたりおよそ30分~1時間程度となります。
治療数時間後に一過性に気道がむくみ、治療部位に一致した部位に気道狭窄や喘鳴(ぜーぜー)が生じて、レントゲンで治療部位に一致した影が出現したり、術後一過性に喘息発作などの合併症が出現することがあります。これらの合併症は治療翌日をピークに徐々に改善します。入院期間は1泊2日から3泊4日程度ですが、合併症の有無によって変化することがあります。

生物学的製剤

生物学的製剤とは、アレルギーの生じる経路を特異的に抑えることができる注射製剤になります。現時点では、ゾレア®、ヌーカラ®、ファセンラ®、デュピクセント®、テゼスパイア®の5種類の生物学的製剤が本邦で承認されており、それぞれ作用の仕方や適応が異なります。
患者さん一人ひとりのアレルギーのタイプを理解しながら、適切な生物学的製剤を使用し、喘息の症状のコントロールを目指します。

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