病院全体の指標
病床利用率
病床利用率と平均在院日数は、病院の経営管理状態を示す指標の1つです。経営管理という視点からみると、病院にはヒト、モノ、カネが投資されていて、それらがどの程度効率的に活用されているかを知る必要があります。また、病院のスタッフが入院患者のケアにどれくらい熟練しているかを知るための間接的指標ともなります。
平均在院日数
急性期病院における患者平均在院日数は、英国では4.9日、フランスでは5.9日、OECD(経済協力開発機構)では約8日(1995年)となっており、当院の数値はこれらに近くなってきています。なお、日本の一般病床の平均在院日数は19.8日(2005)となっています。
退院計画立案率
2007年4月、安定した地域医療の確保を目的として、(1)患者さんへの医療情報提供の推進、(2)医療法人制度の見直し、(3)医療安全確保体制の義務付けなど要点とした医療法の改正が行われました。患者さんへの医療情報の提供に関しては、(1)医療機能情報の公表制度の創設(医療法第6条の2〜3)、(2)入退院計画書の交付・説明(同第6条の4)、(3)広告規制の見直し(同第6条の5)の3項が定められました。退院計画立案率(退院時に療養計画書が作成される場合)はこの第2項に関連しています。第2項では、入院時の診療計画書に関して、“病院や診療所の管理者は患者さんやご家族に対して、入院後7日以内に交付と説明を行う”ように義務付けられました。その内容は、患者さんの入院から退院に至るまでに提供される医療内容に関して適切な説明を行い、病院・診療所の医療従事者の知見を十分に反映させ、互いに有機的な連携が図られるよう努力することとされています。また、記載事項も、患者氏名、性別、生年月日、担当医師名、傷病名、主要症状、検査・治療計画などが具体的に指示されています。これに対して、退院時の療養計画書については、患者さんの退院後に必要な保健・医療または福祉サービスに関する計画書を作成・交付し、提供する者と連携を取りながら、適切な説明を行うことを努力義務としています。
2週間以内の退院サマリー完成率
退院サマリーとは、患者さんの病歴や入院時の身体所見・検査所見、入院経過など、入院中に受けた医療内容のエッセンスを記録したものです。同様に、手術記録も外科的医療の基本情報です。一定期間内に退院サマリーや手術記録を作成することは、病院の医療の質を表しています。
剖検率
剖検率とは、入院中に死亡された患者数に対する、病理解剖(剖検)された患者数の割合をいいます。主な目的は、死因や病気の成り立ち、病態を解明することにあり、担当医がご遺族に剖検の目的を説明し、承諾が得られると、病理医が剖検を行います。全身あるいは一部の臓器が採取され、肉眼的・顕微鏡的検査により最終診断が下され、日本病理学会が発行する日本病理解剖輯報(しゅうほう)に登録されます。剖検率は全国的に年々減少しています。その理由として、画像診断などの検査の進歩により、病状が正確にわかるようになったことが考えられます。しかし、剖検によって、新たな事実が発見されることも少なくありません。剖検結果はその後の診療に役立つため、剖検率は医療の質を反映しているといえます。医師の卒後臨床研修制度においては、2年間の研修で剖検症例を経験し、臨床病理検討会(clinico-pathological conference ; CPC)でプレゼンテーションを行うことが義務付けられています。