聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

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死亡退院患者率

わが国には、“死亡退院された患者さんの割合”というような、病院単位での医療アウトカムを客観的に把握するシステムが存在しません。そのため、全国の病院での“死亡退院率”を知ることはできません。日本内科学会が認定している教育病院415施設の2004年度のデータでは、全退院患者数に対する死亡患者数の割合は4.5%でした。しかし、この数値を、医療の質を反映するとみなす上では注意が必要です。たとえば、医療施設の特徴(職員数、病床数、救命救急センターや集中治療室の有無、平均在院日数、地域の特性など)、入院患者さんのプロフィール(年齢、性別、疾患の種類と重症度など)を揃えなければ正確な比較はできないからです。なお、東京・大阪など主なCCU(冠動脈疾患集中治療室)ネットワークによる急性心筋梗塞患者の死亡退院率データでは、6%前後という数値が示されています。

退院後6週間以内の緊急再入院率

患者さんの中には、退院後6週間以内に予定外の再入院をすることがあります。その背景としては、初回入院時の治療が不十分であったこと、回復が不完全な状態で患者さんに早期退院を強いたこと、などの要因が考えられます。予定外の再入院という定義がややあいまいなことは否めません。緊急再入院率ではなく、DPC調査の再入院率で比べると、2008年の当院値10.0%はDPC調査の11.0%よりは低くなっています。当院では、不完全な回復状態で早期退院を余儀なくされるケースは少ないと考えられます。

入院患者での他科診察依頼の割合

多くの疾患を持っている入院患者さんの診療に対して、それぞれの専門家に診療内容を確認してもらったり、協力を依頼をすること(コンサルテーション)は、診療の透明度、チームワークの度合い、したがって医療の質を示します。

社会心理科による転院患者の割合

関連病院を持っている大学病院の救命センターなどでは、多くの場合担当医が転院先を紹介しますので短期間で転院が可能となります。病院にとっては都合がよいのですが、患者さんとご家族にとっては不本意な転院となることもあります。ソーシャルワーカー(SW)が患者さんとご家族の気持ちを聞き、病状と照らし合わせながら転院を勧めていくことは時間がかかるため、病院にとっては不利益になります。しかし、患者さんとご家族の立場から考えると、SWにサポートされながら転院を受け入れることで、その後、納得のいく闘病生活を送ることができます。転院される患者さんとご家族にSWが面接をすることは、患者さんの闘病生活の質を保証することになります。

入院患者におけるリハビリテーション実施率

急性期におけるリハビリテーションの目的は、廃用症候群や合併症の予防・改善にあります。そのためには、発症早期からリハビリテーションを行うことが重要で、特に脳卒中に対する急性期リハビリテーションはグレードAとして評価され、その効果が認められ強く推奨されていますi)。また2005年に厚生労働省の検討会が提示した資料ii)でも、在宅復帰率などと共にリハビリテーション実施率が重要な指標として上げられています。従って、急性期病院である当院において脳血管をはじめ運動器、呼吸器、心大血管系の患者にリハビリテーションを実施している割合を表す実施率は意義のあるものと思われます。