聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

リウマチ膠原病センター

1.ANCA関連血管炎ってどんな病気ですか?

ANCA関連血管炎とは?

ANCA関連血管炎には顕微鏡的多発血管炎、肉芽腫性多発血管炎、好酸球肉芽腫性多発血管炎の三つが含まれます。これらの疾患がANCA関連血管炎と呼ばれているのは、血液検査でANCA(Anti-Neutrophil Cytoplasmic Antibodies, 抗好中球細胞質抗体)と呼ばれる抗体がこれらの病気で検出されることが多く、また共通する症状があるからです。ANCAには主に2つのタイプがあります。PR3-ANCA (プロテネース3抗好中球細胞質抗体)とMPO-ANCA(ミエロペルオキシダーゼ抗好中球細胞質抗体)です。また、これらの抗体は間接蛍光抗体法と呼ばれる染色をする方法で検査をすると、その染まり方のパターンからC-ANCA(cytoplasmic ANCA)とP-ANCA(Peri-Nuclear ANCA)とも呼ばれます。MPO-ANCAはこの染色法ではP-ANCAのパターンに、PR3-ANCAはC-ANCAのパターンに染まります。

顕微鏡的多発血管炎

顕微鏡的多発血管炎って何?

顕微鏡的多発血管炎はANCA関連血管炎の中では最も日本人に多いタイプの血管炎です。侵されることの多い臓器としては、腎臓、肺、皮膚、神経などに症状が出てくることが多く、上記のANCAの抗体の中ではP-ANCAつまりはMPO-ANCAが陽性になることが多いです。

顕微鏡的多発血管炎の症状って?

症状には個人差があります。また、どの様な臓器が侵されているかによって症状が変わってきます。腎臓が侵されている場合は、腎炎と呼ばれますが、末期になるまで症状が出ないことがあります。目で見えないような血尿や蛋白尿が初期にみられる徴候で、尿検査をしないとわかりません。肺に症状が出る場合は、血管炎に伴う肺の中の出血が起きている場合です。息切れ、喀血などが見られます。皮膚に症状がみられる場合は、紫斑が多いです。数ミリ程度の大きさの皮下の出血班が、特に下肢に見られます。発熱、倦怠感、体重減少など全身的な症状を来すこともあります。

どのように診断をするの?

個人個人に合わせてどのような症状が出ているか、またその症状がなぜ起こっているのかを詳しく調べます。症状にもよりますが、血液検査、尿検査、画像検査などを組み合せて行います。必要時には、気管支鏡検査や生検の検査などを施行します。

原因はなに?

現時点では、原因は不明です。しかし、どの様な免疫の異常で起こってきているのかが解明されつつあり、新たな治療法も徐々に開発されつつあります。

どのように治療をするの?

免疫が血管の炎症を起こすことによって起きてくる病気なので、免疫を抑える必要があります。治療は、寛解導入期と維持療法期に分かれます。顕微鏡的多発血管炎の診断となった場合や、再発した場合はまず寛解導入療法を行います。寛解導入療法では、血管の炎症をまずしっかりと抑えることが目標です。ステロイドを治療に用いますが、症状や重篤度に合わせて量を変化させます。ステロイドに加えて寛解導入療法で良く用いられる薬としては、シクロフォスファミドやリツキシマブがあります。また、症状や重篤度に合わせて、その他の薬剤も併用していきます。当院ではどのような薬剤で治療すればいいのかを個々の患者さんに合わせて調節いたします。維持療法ではしっかりと抑えた炎症が戻ってこないように治療を行っていきます。この治療は長期にわたりますので、個々の患者さんに合った薬剤をしっかりと選択していくことが大切になります。

肉芽腫性多発血管炎

肉芽腫性多発血管炎って何?

肉芽腫性多発血管炎はANCA関連血管炎の中では日本人には少ないタイプの血管炎です。以前はウェゲナー肉芽腫症と呼ばれていました。耳鼻咽喉系、肺、腎臓、皮膚、神経、関節などに症状が出てくることが多く、上記のANCAの抗体の中ではC-ANCAつまりはPR3-ANCAが陽性になることが多いです。

肉芽腫性多発血管炎の症状って?

症状には個人差があります。また、どの様な臓器が侵されているかによって症状が変わってきます。耳鼻咽喉系の上気道の症状が出る方が多いです。すっきりと治らない副鼻腔炎、頻回に出る鼻血などです。肺に症状がみられる場合は、顕微鏡的多発血管炎と同様の肺の中の出血のみならず、肺の中に結節影(肺の中の腫瘤)を生じることがあります。肺の中の出血では、息切れや喀血を起こしますが、腫瘤のみの場合は、それほど症状が出ないこともあります。腎臓が侵されている場合は、腎炎と呼ばれますが、末期になるまで症状が出ないことがあります。目で見えないような血尿や蛋白尿が初期にみられる徴候で、尿検査をしないとわかりません。皮膚に症状がみられる場合は、紫斑が多いです。数ミリ程度の大きさの皮下の出血班が、特に下肢に見られます。神経が侵されると、四肢にしびれが出たり、手足が動かしにくくなったりします。発熱、倦怠感、体重減少など全身的な症状を来すこともあります。

どのように診断をするの?

個人個人に合わせてどのような症状が出ているか、またその症状がなぜ起こっているのかを詳しく調べます。症状にもよりますが、血液検査、尿検査、画像検査などを組み合せて行います。必要時には、気管支鏡検査や生検の検査などを施行します。

原因はなに?

現時点では、原因は不明です。しかし、どの様な免疫の異常で起こってきているのかが解明されつつあり、新たな治療法も徐々に開発されつつあります。

どのように治療をするの?

免疫が血管の炎症を起こすことによって起きてくる病気なので、免疫を抑える必要があります。治療は、寛解導入期と維持療法期に分かれます。肉芽腫性多発血管炎の診断となった場合や、再発した場合はまず寛解導入療法を行います。寛解導入療法では、血管の炎症をまずしっかりと抑えることが目標です。ステロイドを治療に用いますが、症状や重篤度に合わせて量を変化させます。ステロイドに加えて寛解導入療法で良く用いられる薬としては、重症度によって異なりますが、シクロフォスファミド、リツキシマブやメトトレキセートがあります。また、症状や重篤度に合わせて、その他の薬剤も併用していきます。当院ではどのような薬剤で治療すればいいのかを個々の患者さんに合わせて調節いたします。維持療法ではしっかりと抑えた炎症が戻ってこないように治療を行っていきます。この治療は長期にわたりますので、個々の患者さんに会った薬剤をしっかりと選択していくことが大切になります。

好酸球肉芽腫性多発血管炎

好酸球肉芽腫性多発血管炎って何?

好酸球肉芽腫性多発血管炎はANCA関連血管炎の中で他の二つの病気(肉芽腫性多発血管炎と顕微鏡的多発血管炎)と比べて、少し雰囲気の異なる病気です。以前はチャーグストラウス症候群と呼ばれていました。喘息、副鼻腔炎が多くの方で見られ、それ以外に神経、腎臓、皮膚、心臓、関節などに症状が出てくることが多い病気です。上記のANCAの抗体の中ではP-ANCAつまりはMPO-ANCAが陽性になることが多いですが、上記の二つの疾患と比べるとANCA自体が陽性になる方は少ないです。

好酸球肉芽腫性多発血管炎の症状って?

症状には個人差があります。また、どの様な臓器が侵されているかによって症状が変わってきます。ほとんどの方に先行する喘息やアレルギーの症状があります。喘息以外に肺に症状がみられる場合は、肺炎を起こしたり、稀ですが、顕微鏡的多発血管炎と同様の肺の中に出血を起こすことがあります。肺の中の出血では、息切れや喀血を起こします。心臓が侵されると、心不全を起こすことがあります。足のむくみ、息切れなどの症状が出てきます。腎臓が侵されている場合は、腎炎と呼ばれますが、末期になるまで症状が出ないことがあります。目で見えないような血尿や蛋白尿が初期にみられる徴候で、尿検査をしないとわかりません。皮膚に症状がみられる場合は、紫斑が多いです。数ミリ程度の大きさの皮下の出血班が、特に下肢に見られます。神経が侵されると、四肢にしびれが出たり、手足が動かしにくくなったりします。発熱、倦怠感、体重減少など全身的な症状を来すこともあります。

どのように診断をするの?

個人個人に合わせてどのような症状が出ているか、またその症状がなぜ起こっているのかを詳しく調べます。症状にもよりますが、血液検査、尿検査、画像検査などを組み合せて行います。必要時には、気管支鏡検査や生検の検査などを施行します。

原因はなに?

現時点では、原因は不明です。しかし、どの様な免疫の異常で起こってきているのかが解明されつつあり、新たな治療法も徐々に開発されつつあります。

どのように治療をするの?

免疫が血管の炎症を起こすことによって起きてくる病気なので、免疫を抑える必要があります。治療は、寛解導入期と維持療法期に分かれます。好酸球肉芽腫性多発血管炎の診断となった場合や、再発した場合はまず寛解導入療法を行います。寛解導入療法では、血管の炎症をまずしっかりと抑えることが目標です。ステロイドを治療に用いますが、症状や重篤度に合わせて量を変化させます。ステロイドに加えて寛解導入療法で良く用いられる薬としては、重症度によって異なりますが、シクロフォスファミドや免疫グロブリン、メトトレキセートがあります。また、症状や重篤度に合わせて、その他の薬剤も併用していきます。当院ではどのような薬剤で治療すればいいのかを個々の患者さんに合わせて調節いたします。維持療法ではしっかりと抑えた炎症が戻ってこないように治療を行っていきます。この治療は長期にわたりますので、個々の患者さんに会った薬剤をしっかりと選択していくことが大切になります。

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