聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

お薬について

患者さん向けお薬情報

おくすりの基本的な知識

くすりは、正しく使うことによってその効果が充分に発揮されるだけでなく副作用を未然に防ぐことができます。そのためには医師や薬剤師にくすりのことを遠慮なくたずねましょう。また、自身が飲んでいるくすりが良く効くからといって、自分と同じ症状のほかの人に飲ませたり、勧めることは非常に危険です。医師は、あなたの病気に適切であると考えたくすりを処方しているからです。くすりを受け取る時、まず名前を確認しましょう。

医師からもらった外来処方箋を院外の保険調剤薬局に持っていき、薬剤師が処方箋にしたがって調剤する院外処方箋を発行している医療機関が増えております。このようなシステムを医薬分業制度といいます。この制度は、医師と薬剤師によるくすりの二重チェックができることが大きな特徴であり、各保険調剤薬局ではお薬手帳などを利用して個々の患者さんの薬歴を管理していますのでくすりの飲み合わせによる副作用や薬物アレルギーの予防につながります。皆様もぜひかかりつけの保険調剤薬局をもつようにお勧めいたします。

くすりQ&A

くすりを「なに」で飲みますか?

くすりは、水、ぬるま湯で飲みます。くすりは水に溶けることにより、腸の粘膜から吸収されやすくなり、その効果を発揮します。また、水なしでくすりを服用すると、のどや食道にひっかかりむせたり、潰瘍を起こすことがあります。そのため、コップ1杯程度の水かぬるま湯で服用してください。アルコールと一緒に服用するのは、大変危険ですのでやめてください。医師、薬剤師の指示なく噛み砕いて飲んだりすることはやめましょう。牛乳と一緒に飲むと効果がなくなるくすりもあります。注意しましょう。

※水なしで飲むくすり
心臓の発作を予防するくすりのなかに「舌下錠」というタイプのくすりがあります。舌下錠は,吸収を早めるために、飲み込まずに舌の下などに入れて溶かして服用します。また、最近水なしで服用できるくすりもあります。「口腔崩壊錠」といいます。水がないところでも服用できるように工夫されたくすりです。 詳細は医師・薬剤師の指示に従ってください。

くすりを飲む前に医師、薬剤師に次のことは必ず伝えてください。
  1. 他の病院で処方されたくすり、薬局で購入し常用しているくすり、健康食品などすべて
  2. いままでに、くすりを使ってじん麻疹や発疹などのアレルギーと副作用の体験
  3. 妊娠中かその可能性の有無、及び授乳中かどうか
  4. 以前にかかった病気など
食前・食間・食後などの飲み方について
  • 食前・・・食事をとる約30分前のことです。
  • 食間・・・食事後2時間くらいが目安です。食事の途中(食事の間)に服用するのではありません。
  • 食後・・・食事をとったあと約30分後が目安です。食事の消化が一段落した頃合いです。消化された食物が胃の中にあるため、胃壁に対するくすりの刺激が少なく、胃荒れを防いでくれます。大部分の薬が食後に飲まれます。
  • 時間毎・・・食事に関係なく一定の間隔で服用してください。少々ずれてもかまいません。
  • 頓服・・・症状がある時(高熱時、痛む時、不眠時、便秘時など)必要に応じて飲みます。間隔などは医師の指示に従ってください。
  • 食直前・・・食事を始める時に服用してください。
  • 食直後・・・食事のすぐ後に服用します。食事の最後に、食卓を離れるときに服用します。食事を始める時、テーブルの上に準備しておくと忘れません。

※どうしても生活パターンや仕事の関係で正しい服用時間が守れないかたは医師、薬剤師にご相談ください。

のみ忘れ時は?
くすりにより異なりますので、医師・薬剤師に事前に確認しておくのが良いでしょう。原則的には,気がついたときすぐに服用します。ただし、次の服用時間が近いときは忘れた分は服用しなくてよく、2回量を一度に服用しないというのが一般的です
くすりはいつまで保存できるのか?
  • 病院でもらったくすり、また処方箋で調剤してもらったくすり(医療用医くすり品)は患者さんのその時の病気、病状にあわせたものが選ばれています。医師からの特別な指示がない限り、処方された日数までです、同じような症状でも別の病気の場合もあります。使い残しのくすりを自己判断で使用するのはやめましょう。
  • 町のくすり局で売っているくすり(一般用くすり)は瓶を開封したら、6ヶ月を目安にしてください。開けてないくすりは箱などに書いてある使用期限の期日を参考にして下さい。
どこに保存すればよいのか?
くすりは湿気、日光、高温を避けてカンなど密閉容器に入れて、子供の手の届かない場所に保存して下さい。なお、水くすり・目くすり・坐くすりなどは冷蔵庫に保存して下さい。
くすりを中止するときはどうすればいいのか?
病院で処方されたくすりは、症状が軽くなったからといって自分の判断で勝手にやめないでください。急に中止するとリバウンド現象といって、反動からかえって症状が悪化する場合があります。必ず、医師か薬剤師に相談して十分、納得してくすりを飲んでください。
くすりの副作用とは?
くすりは、私たちの病気を治すために服用します。これを主作用といいます。しかし、くすりには、治療に必要のない作用や好ましくない作用もあります。これを副作用といいます。副作用は、くすりを服用する全ての人に起こるわけではありません。また,いつも起こるわけでもありません。
医師や薬剤師の指示とおり服用しても、副作用がでる場合があります。服用を続けてもあまり問題にならない副作用もありますが、中には、くすりを変更したり、すぐに中止しまれにですがあります。くすりを服用して、発疹、水ぶくれ、かゆみ、発熱、息苦しさなどの症状が現れた場合には、医師・薬剤師に相談してください。
お薬手帳とは?
「お薬手帳」は、あなたのくすりの履歴書です。
いままでに、どんなくすりを飲んできたか、副作用の記録、アレルギーの有無や、自分で購入したくすりの記録、くすりを服用していて気がついた事などもメモしておきましょう。詳細は、各薬局窓口で問い合わせてください。病院、薬局へ行く時は持参して、医師、薬剤師に見せましょう。
食事をしてないときはどうするの?
食事をしなくても、原則くすりは飲んで下さい。但し、糖尿病薬を服用する場合には必ず食事をとることが必要です。低血糖が起こりやすくなります。
くすりの保管方法はどうすればいいのか?

くすりの保管の三大原則!

  • 温度:温度が高いと変質しやすくなります。場合によては冷蔵庫に保管すると、逆に湿気をおびやすく なったりするので、特に指示がなければ冷蔵庫に保管する必要はありません。
  • 湿度:湿気が多いと変質もおこしたり、カビを発生させたりします
  • 光 : 直射日光のような強い光を受けると変質しやすくなります

くすりの剤形に応じた保管方法

  • 散剤・錠剤・カプセル剤:梅雨時期は湿度が高くなるので錠剤・カプセル剤・散剤は水分を吸収して変化を起こしやすいので、できるだけフタの閉まる缶などに乾燥剤を入れて保管してください。
  • 液剤(シロップ):できるだけ冷蔵庫など冷暗所に保管してください。凍結によりくすりが変化するものがありますので冷凍庫での保管は避けましょう。計量カップ、薬瓶の口は常に清潔に保ちましょう。
  • 点眼薬:点眼袋は指示のあるものは、それにしたがってください。点眼薬で遮光袋がついているものは袋に入れ保管してください。
  • 坐薬:夏場など気温の高い時期には坐薬は溶けやすいので挿入部を下にして冷暗所に保管して下さい。一度溶けてしまった坐薬は。原則として使用しないでください。
  • インスリン注射薬:インスリン注射薬は凍結を避け冷蔵庫など冷暗所に保管してください。ただし、使用中のペン型インスリン注射薬は結露を避けるため冷蔵庫に入れないで下さい。
小児・高齢者・妊婦・授乳婦の使用について

小児

生後3カ月未満の乳児は、薬を代謝して無害にする肝臓の働きや、体外に排泄する腎臓の機能が、十分発達していないため、体内に薬が蓄積しやすく副作用が出やすい傾向にあります。6カ月を過ぎると、薬を代謝したり排泄する機能が備わってきますが、身体が小さいため服用によっては、薬の血中濃度が上がり、作用が強く現れて副作用が出ることがあります。このように子供は年齢と成長段階によって変わります。

高齢者

お年寄りは複数の病気を併発している場合が多く、服用する薬の種類が多くなりがちです。その上、年をとるとともに肝臓や腎臓で薬を処理する働きが低下するため、体内に薬が残り副作用が起こりやすくなります。また、2種類以上の薬を同時に服用するときは、相互作用で思わぬ事故が起こりやすくなりますので、薬剤師に相談してから服用するようにしましょう。

妊婦

妊娠中は、肝臓や腎臓に大きな負担がかかり、薬の作用する時間が長くなって副作用を起こしやすくなります。特に妊娠初期は、胎児に機能障害や形態異常が起こることが薬によってありますので、医師の指示に従ってください。

授乳婦

授乳中に母親が薬をのむと、その中の一部が母乳中に出てきて、赤ちゃんの体内に吸収されることがあります。入っていく量は薬によって違いますし、赤ちゃんへの影響もいろいろですが、中には微量でも問題になる場合がありますので十分な注意が必要です。

内服剤とは?

市販薬には口から服用するもの、直接患部につけるものなど、さまざまなタイプがあります。剤形は、使用しやすい、効果がよく発揮される、副作用が軽減される、品質の保存期間が長いなどを目的に工夫されています。口から服用する製剤の総称で、経口剤とも呼びます。注射薬や外用薬などに比べると比較的作用が穏やかで、保存性が良いといった特徴があります。反面、効果が出るまでに時間がかかること、薬によっては胃腸や肝臓に障害を起こすといった欠点もあります。

散剤・細粒剤

早く作用させるために、粉状にしたもので錠剤がうまくのめない高齢者や小児に適しています。また、のどの散剤には水なしでのむものもありますが、一般には、水やぬるま湯といっしょに服用します。

顆粒剤

むせたり、苦みを残したりしないよう、のみやすく細かい粒状に加工したものです。水やぬるま湯といっしょに服用します。

錠剤

一定の形に押し固めたタイプの薬剤で、何種類かの薬を層状にしたもの、表面をコートしたものなど、さまざまなタイプがあります。のみやすく携帯に便利で、保存性にも優れています。通常、錠剤はむやみにかんだり、砕いたりしないで、水やぬるま湯といっしょにそのまま服用しましょう。

カプセル剤

散剤や顆粒剤、液状の薬などを、ゼラチンでできたカプセルに入れたものです。胃や腸など、必要な場所で薬が溶けて効力を発揮するように作られています。カプセルをかみ砕いたり、切り開いたりしないで、水やぬるま湯でそのまま服用しましょう。

内服液剤

シロップ剤、ドリンク剤などがあります。シロップ剤は、子供用の薬によく用いられ、薬を糖液などに溶かしてのみやすくくしたものです。ドリンク剤のようにそのまま1ビンを1回で服用するものもありますが、1ビンを何回かに分けてのむものは、1回量を添付された計量カップで計って服用しましょう。また、ドロッとした液体状の場合には、ビンを軽く振って中の成分が均質になってから1回量を別の容器にとって服用しましょう。

トローチ剤

口の中でゆっくり唾液で溶かして、効果が得られる剤形です。のどの炎症などを抑えるため直接作用させるようにしたもので、そのままのんだりかんだりしないで下さい。

チュアブル剤

かみ砕いて唾液で溶かしてのみ込みます。水なしでのめる特徴があります。

外用剤とは?

皮膚などに直接、塗ったり貼ったりする薬のことを外用剤といいます。効果が早いのが特徴です。軟膏剤、外用液剤、貼付剤、坐剤などいろいろなタイプがあります。

軟膏剤

皮膚や粘膜に直接、塗布する半固形状の薬剤のことをいいます。 一般的に軟膏といっている油脂性基剤のものの他に、乳剤性基剤にクリーム剤もこの中に含まれます。クリーム剤は主に乾いた患部用の薬剤として使われます。基本的に皮膚の薬として用いられますが、皮膚を通って血管に吸収され全身に作用するものもあります。

外用液剤

うがい薬、傷口の消毒や虫さされ薬、水虫の薬などいろいろありますが、ビンの口にスポンジがついていて直接塗るものや、塗るためのスプレー器具や筆のついているものもあります。うがい薬は、そのまま又は薄めてのどの奥まで届くようにうがいしてください。

貼布剤

特殊な布に薬剤を塗りつけたもので、体に貼って皮膚から成分を吸収させます。貼る部分の皮膚を清潔にし、乾燥させてから貼ります。かぶれやすい人は、患部に薄いガーゼをあて、その上から貼ると良いでしょう。

坐剤

肛門などに挿入して使う薬です。アルミ箱やプラスチックフィルムで包装されていますから、必ず包装をとって使ってください。 詳細な使用法は以下の通りです。

イメージ:外用剤

  1. 坐薬を包装から取り出し、後部を指先またはガーゼ、ティッシュペーパーなどでつかみます。
  2. とがった方から肛門に入れて10秒程度押さえておいてください。

※1本では多すぎるため、半分などの指示がある場合は、包装フィルムごと清潔なナイフ等で図のように斜めに切り、フィルムをはがし、とがった部分(黄色の部分)を入れます。

点眼剤

目に直接用いて、目の病気の治療や症状の改善をするもので、液剤の点眼液と、軟膏タイプの眼軟膏とがあります。

点鼻薬・点耳剤

点鼻剤は鼻かぜや鼻炎による鼻づまりなどに用いる薬剤。液状と、噴霧タイプとがあります。点耳剤は、耳の中の炎症などに用います。

エアゾール剤

噴射剤の圧力によって成分が噴霧状、ペースト状、泡状に出る製剤です。噴霧状の製剤は冷却効果が起こって清涼感を感じるものがあります。患部までの距離や噴射時間などを守って使いましょう。

処方せんの使用期間ついて

病院で発行された処方せんの使用期間は交付日を含み4日以内です(休日や祝日を含む)。必ず使用期間内に院外の保険薬局でお薬をお受け取り下さい。

使用期間を過ぎますと、処方せんが無効となり再発行が必要となります。再発行にかかる費用は健康保険適応外で患者負担です(紛失された場合も同様)。長期の旅行など特殊な事情がある場合は、医師が処方せんの使用期間を延長できる場合がありますので、診察の際に医師にお申し出ください。