聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

乳腺外科

乳がんの治療

乳がんには、有効な治療法がさまざまあります。がんの性質や進行度に合わせて治療法を選択し、組み合わせています。安心して治療に取り組むためにも、どのような治療が、どうして行われるのか、よく知っておくとよいでしょう。

大きく局所治療と全身治療に分けることができます。乳がんでは手術で完全にがんが取りきれたと思われても、再発することがあります。とくに浸潤がんでは、検査で見つけられないようながん細胞の小さなかたまりが体のどこかに散らばっている(微小転移)ことがあります。これらは手術や放射線療法のような局所的な治療だけで治すことはできません。全身的な治療をあわせて行っていくことが重要となります。

局所治療

手術療法

乳房

乳房に存在するがんを切除して取り除き、その部位での進行を極力防ぎます。
乳房切除術と乳房部分切除術があります。乳房再建術を行うこともあります。
非浸潤がんでは全身に転移を起こしていないため、手術によって100%近く治すことができ、もっとも重要な治療となります。

腋窩リンパ節

乳がんは腋窩(わきの下)リンパ節に転移することがもっとも多く、浸潤がんのおよそ1/3は既にリンパ節転移を起こしていることが知られています。一方で、リンパ節を広範囲切除する(郭清)することでリンパ浮腫などの合併症のリスクが高まることも事実です。そこでセンチネルリンパ節生検を行って転移の有無を確認し腋窩リンパ節郭清が必要かどうかを判断しています。

放射線療法

放射線療法

乳房部分切除術を行った後、温存した乳腺に放射線をあて、乳房内の再発を予防します。乳房切除術を行った場合、原則放射線療法の必要はありませんが、リンパ節転移が発見された際には、胸壁や腋窩、鎖骨上窩などへ放射線をあてることにより再発予防を図ることがあります。

放射線療法は、通常、手術後4〜6週目ころから始めて、3~6週間ほど行います。平日に毎日通院していただきます。放射線腫瘍科において、専門の放射線腫瘍医が担当します。1回の照射時間は、5分程度です。毎日少しずつ行うのは、がん細胞を破壊しつつ、正常細胞への影響を最小限にとどめるためです。これを少量分割法といいます。

放射線の影響で、皮膚が日焼けしたように赤くなったり、色素沈着や脱色、乳房が熱感をもつなどの副作用がみられることがあります。終了後徐々に改善してきます。皮膚症状が強い場合は外用薬などで対応します。脱毛や吐気は通常ありません。

全身治療

化学療法(抗がん剤治療)

一般に抗がん剤を点滴で投与します。薬剤が血液とともに全身に広く行きわたり、体内に潜んでいるかもしれないがん細胞を死滅させようという治療です。化学療法の有効性(再発予防、生存率向上)は多くの臨床試験で確認されています。乳がんの治療において極めて重要な方法です。副作用対策も進歩しており、基本的に外来通院で治療を行うことが可能です。

内分泌療法(ホルモン療法)

多くの乳がんは女性ホルモンの刺激を受けて増殖します。そこで内分泌療法によって女性ホルモンの分泌を抑制したり、がん細胞がもつホルモン受容体をブロックしたりすることによってがん細胞の増殖、転移を防止しようという治療です。

分子標的薬

病気の細胞(がん細胞など)の表面にあるたんぱく質や遺伝子をターゲットとして効率よく攻撃する薬です。HER2たんぱくに対するハーセプチン®(トラスツズマブ)が代表的な薬剤です。

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