聖路加国際病院

St Luke's International Hospital

泌尿器科

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骨盤臓器脱

骨盤臓器脱について

昔は性器脱のことを「茄子(なすび)がさがる」と表現していましたが、最近では「骨盤臓器脱」と呼ばれるようになりました。骨盤臓器脱は、年齢・出産・閉経のために骨盤の筋肉が緩むによって、膀胱や子宮、直腸が腟から出てしまう病気です。膀胱が一番下がった時には膀胱瘤、子宮、直腸が下がった時には子宮脱、直腸瘤と呼びます。はじめは腟からピンポン玉のようなものが飛び出すといわれる方が多いのですが、時間とともに徐々に悪化し、排尿がしにくくなったり、便がしにくくなったり、出血を起こしたりすることがあります。また膀胱炎と似た症状を伴うことがあるため見過ごされて長年治療されることもあります。骨盤内臓器脱で悩んでいる方は非常に多く、女性の10~15%におこると報告されています。

分類と症状

① 膀胱瘤(Cystocele)

特徴的な症状:頻尿、残尿感、排尿困難を起こすことがあります。
何度も繰り返す膀胱炎の原因となっていることもあります。

② 子宮脱(Uterine Prolapse)

特徴的な症状:違和感、臓器下垂感、下着とすれての出血を起こすことがあります。

③ 脱症(Vault prolapse)

子宮を摘出した方に起こります。
特徴的な症状:違和感、臓器下垂感を起こすことがあります。

骨盤内臓器脱に対する治療について

骨盤底筋運動

骨盤の緩んだ筋肉をもう一度鍛える目的で行う体操です。
お尻を緩めたり締めたりする運動を1日10回5~10セット、できれば3か月間続けましょう。

リングペッサリー

腟内にリングをいれることによって臓器が下がらないようにします。
自分で毎日出し入れする(自己脱着)と炎症や出血が起こりにくくなります。自己脱着が難しいようであれば、2~3か月ごとに外来で交換することもできます。

メッシュを使わない従来の術式:Native tissue repair

従来の臓器脱に対する治療は子宮摘除術と腟壁形成術が主流でした。しかし子宮を摘出すると短期間の間に膀胱瘤や直腸瘤、小腸瘤出現する可能性があります。施設によって再発の頻度は異なりますが、再発率が約30~40%と報告しているものもあります。

経腟メッシュ手術:TransVaginal Mesh surgery (TVM)

ポリプロピレンメッシュによって筋肉を補強する方法が経腟メッシュ(TVM)手術です。この手術は2000年にフランスから報告され、子宮を摘出することなく、再発率は数%と非常に低かったため全世界で普及いたしました。しかし盲目的操作による術中合併症の増加、術後性機能低下が報告されため、米国FDAより習熟した術者が実施するよう勧告が出されております。聖路加国際病院では、臓器脱治療を専門とする医師が執刀いたしますので、術中の合併症は1%未満と極めて安全な術式になっております。特に高齢の方で臓器脱の治療を希望される方に適していると考えられます。

膀胱瘤・子宮脱に対するTVM手術

腹腔鏡下仙骨固定術:Laparoscopic sacrocolpopexy

経腟メッシュ手術はシンプルで再発率の低い術式ですが、性機能に関する合併症が多く報告されるようなってきたため米国では減少しています。それに代わって腹腔鏡下仙骨固定術が増加するようになってまいりました。腹腔内よりメッシュを挿入することによって、腟内に生ずる合併症を減らしながらメッシュによる強力な補強を維持できるため本邦でも増加傾向にあります。2014年からは保険適用となりました。特に性機能の温存を希望される若年の方におすすめします。

腹腔鏡下仙骨固定術の概要

① 最初に子宮を摘出します

① 子宮の出口(頚部)は残します

① メッシュを膀胱・頚部に固定して仙骨まで引き上げます

各術式の比較

従来の方法 経腟メッシュ手術 仙骨固定術
長所 メッシュが不要
短い手術時間
お腹を切らない
再発率が低い
短い手術時間
子宮摘出がいらない
お腹を切らない
再発率が低い
性交渉が可能
欠点 再発率が高い
性機能の低下
メッシュの露出
性機能の低下
手術時間が長い
子宮摘出が必要
メッシュの露出
手術時間 1~1.5時間 1~1.5時間 2.5~3時間
お薦めの方 メッシュを使いたくない方
短時間手術希望の方
短時間手術希望の方
再発したくない方
性機能の温存を希望される方
お薦めしない方 再発したくない方 性機能が重要な方
出産を希望される方
出産を希望される方
長時間の麻酔に耐えられない方

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