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尿路結石症
腎臓から尿道までの、尿の通り道に石が出来る病気を「尿路結石症」といいます。
上部尿路(腎臓~尿管)における結石罹患率は、経時的に上昇しております。生涯罹患率は、男性では15.1%、女性では6.8%となり、男性では7人に1人、女性では15人に1人が一生に一度は尿路結石に罹患することになります。男性では40歳代に、女性では50歳代に好発年齢のピークが見られます。また、5年再発率は約45%と高いことが知られており、再発予防が非常に大切になります。
現在、上部尿路結石の術式には以下のものがあります。
- ① 経尿道的結石破砕術 (transurethral lithotripsy:TUL)
- ② 経皮的結石破砕術 (percutaneous nephro-uretero lithotripsy:PNL)
- ③ 体外衝撃波結石破砕術(extracorporeal shock wave lithotripsy)
- ④ 開放手術 → 他術式の進歩により激減
尿管結石
自然排石を期待出来る10mm以下の尿管結石に関しては経過観察可能と考えます。但し、1ヶ月を超えて自然排石されない場合には手術を検討することになります。但し、以下の場合は例外となり、術前処置も含めて、手術決定を速やかに行うことがあります。
- Ⅰ 顕著な腎機能低下を伴う症例
- Ⅱ 感染(急性腎盂腎炎)症例
- Ⅲ 激しい疼痛を伴う症例
当院では、①経尿道的結石砕石術(TUL)を採用しております。
基本的には3泊4日のスケジュールで実施しております(入院当日に手術となります)。
結石の大きさや数、部位によっては、複数回の入院や、外来での術前処置をお願いする場合がございます。
摘出された結石の成分を確認し、予防に関するアドバイスをさせていただきます。
ガイドラインにおきましては上記のようにESWLとのすみ分けがされておりますが、回収まで行えるTULに充分なメリットがあると思われます。
TUL | ESWL | |
---|---|---|
メリット | ・単回での成功率は90%程度 ・回収まで行うため、結石成分を確認可能 |
・無麻酔で実施可能 |
デメリット | ・全身麻酔下で実施するため、充分な術前検査が必要 | ・破砕のみであり、排石の自助努力が必要 ・単回での成功率は70%程度 |
腎結石
無症状の場合が多いですが、無症状の結石を長期で放置していると腎機能低下や、繰り返す尿路感染を引き起こすことがあります。
20mm未満の腎結石の術式は、①~③のいずれもほぼ適応可能です。
当院では尿管結石同様に、①TULを採用しております。
手術の流れ
- 尿道口より尿管鏡を挿入し、膀胱内で尿管口を確認します(皮膚切開はありません)。
- 硬性尿管鏡もしくは軟性尿管鏡を尿管口から尿管~腎へと進めて観察を行います。
- 結石の位置を確認し、レーザーにて砕石を開始します。
- 破砕され小さくなった結石をバスケット鉗子にて回収します。
- 合併症予防目的にて、尿管カテーテル(D-J ステント、約2週間後に外来にて抜去します)、尿道カテーテル(翌日抜去します)を留置し、手術終了します。
手術時間:手術は1~2時間(結石の数、大きさによって異なります)。
合併症
- 出血・血尿:症状が強い場合は適宜対処致します。
- 感染:術後発熱のある場合は、入院期間が延びる可能性があります。
- 尿管損傷:ほとんどのものは保存的治療で回復します。大変可能性は低いですが、緊急で の開腹手術などが必要になることがあります。
- 尿管狭窄:粘膜の損傷が強い場合は、術後に尿管拡張術が必要になることがあります。
- 排尿時痛・頻尿:術後に尿管カテーテルを留置するため、頻尿や排尿時痛を伴うことがあります。外来で約2週間後に抜去する予定ですが、それまでは鎮痛剤などで対応致します。
- 尿管結石の長期嵌頓等があると、尿管狭窄や屈曲が強く、結石への到達が困難な場合がございます。その場合は、腎から経皮的に腎瘻(管)を留置する可能性があります。
詳しくは、泌尿器科外来で担当医にお尋ね下さい。
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