左心耳閉鎖術 - 慢性心房細動における薬が要らない脳梗塞予防
慢性心房細動が発生すると左心房内の血液の流れによどみができるため、脳梗塞を起こしやすくなります。脳梗塞予防のための標準治療は抗凝固剤の内服治療です。ところが、抗凝固剤によって1年に約3%、心血管にステントが入っている場合は抗血小板剤も内服が必要なため、2剤内服すると年間約5%の方々が何らかのひどい出血を起こしています。そのような患者さんのために開発されたのが左心耳閉鎖術という、血栓のできやすい部屋に詰め物のような閉鎖栓を入れ、血栓ができる部屋に血栓を完全に閉じ込めることによって脳梗塞を予防する治療です。
治療方法
足のつけ根から4mmほどの管を入れて右心房にカテーテルを入れ、右心房から細い針を入れて心房の壁に穴を開け、左心房にカテーテルを入れて左心房から左心耳にカテーテルを入れかえて閉鎖栓を左心耳に入れます。1か月半ほど抗凝固剤を内服後、一定期間抗血小板剤へ切り替えた後、血栓に対する薬を終了することもできます。
合併症
カテーテル手技の中では合併症の少ない手技になりますが約2%程度の確率で左心房に傷がついて出血したり、閉鎖栓が左心房内へ抜け落ちてしまうことがあります。また、左心耳が完全に閉鎖されていても、脳塞栓を起こしてしまうことが抗凝固剤を内服している場合と同様低い頻度で起こります。
入院期間と費用
基本入院期間は4泊5日です。ただし、入院期間は状態によって変わります。短期入院を希望される場合は、手技当日入院で3泊4日も可能です。費用は保険適応で、各種保険の定めた上限以上は返還されることとなります。退院の翌週から条件付きで就労可能となりますので、仕事をしていらっしゃる場合でも短期の休業で復帰可能です。
窓口
循環器内科SHD外来を受診お願いします。
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