経カテーテル大動脈弁留置術 TAVI
カテーテルによる大動脈弁の治療
開胸せずに大動脈の治療を行うことができます。ご高齢の方の大動脈弁治療を安全に行うことができるようになりました。
サポートについて
大動脈弁狭窄症は弁の変形が原因の病気です。よって薬剤治療がうまくいかないことが多く、年をとるほど病気は進行します。症状は呼吸困難、胸痛、失神で病気が進行するにしたがって症状もひどくなり、ご本人様だけでなく苦しんでいるご本人様をみているご家族の皆様も苦痛を感じることになります。すでに全身の状態が悪いため、ある程度の合併症を起こすリスクはありますが、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は特にご高齢でこの病気に悩んでいらっしゃる患者さまに対して苦痛を軽減して平均余命を長くすることができる唯一の治療です。聖路加の特徴は医師間だけでなく、看護師、技師、理学療法士のチームワークの良さとリハビリを含めた術前術後の総合的なケア力を入れていることです。治療をご希望の患者様はSHD外来受診をおすすめします。
治療室(ハイブリッド室)
カテーテル処置、開胸手術ともに可能なハイブリッド室。
大動脈弁狭窄とは
加齢と高血圧などから大動脈弁が硬くなり、うまく開かなくなってしまう病気です。80歳を超えると多くの方がこの病気に罹患します。
大動脈弁(正常)
大動脈弁(狭窄)
病気が悪さをするしくみ
全身に血液を送る大動脈の入口が狭くなって全身に血液が送れなくなります。そのせいで血液から栄養をもらっている全身の臓器の機能が下がります。
起こりうる症状
初期症状は動いた時の息苦しさ、ふらつきです。進行すると失神、心不全、腎臓の機能が下がります。
病気をみつけるための検査
心臓超音波検査によって診断されます。15分程度で終わる、寝ているだけの簡単な検査です。外来通院で行います。
治療までの流れ
大動脈弁の狭さが中等度か軽症であれば超音波で経過観察です。重症の場合、CTや心臓カテーテル検査を行い、年齢や他の病気の合併などをみてカテーテル治療が可能か診断します。カテーテル治療が可能と診断した場合、入院日を決定します。
治療方法、治療後の流れ
足の付け根か心臓の先から管を入れてその管から人工弁のついたカテーテルを心臓に入れます。その際ペースメーカーを入れ、ペースメーカーの力をかりて弁を固定します。1〜2時間程度の治療です。全身麻酔で行いますので、寝ている間に終わり痛みはほとんどありません。手術後1日は集中治療室に入りますが、その日から食事を開始します。翌日調子が良ければ一般病棟へ戻り、歩く練習を行います。傷あとも小さく最短で4泊5日で退院となります。状態によって入院期間が異なります。
全室個室を特徴とする安全・安心・快適な療養環境
術後の経過が良好であれば、手術翌日には一般病棟に移り、リハビリに専念して頂きます(*患者様個々の経過によります)。当院は一般病棟が全て個室になっているため、相部屋で他の患者さんの声やテレビの音などを気にすることなく、静かな環境で術後の体力回復に専念できる事が特徴です。ご家族の御面会も他の患者様に気を遣い小声で話される必要もありません。ご自身のプライバシーが守られるのはもちろんのこと、他の患者さんからの感染リスクを低減することができる、安心・安全な環境です。部屋のタイプによって異なりますが、病室にはテレビ、DVD、冷蔵庫、お風呂などが備え付けられており、ご自宅にいるようにリラックスして療養生活を過ごしていただけます。
多職種による充実したサポート体制
カテーテル治療専門医、心臓血管外科医、麻酔科医、看護師、理学療法士(リハビリ)、技師、事務職員がチーム一丸となって、患者さんに適切な治療を提供します。医師の治療レベルが水準を保っていることはもちろんの事、当院では看護師、理学療法士を含めた多職種が高水準で機能している事も特徴の一つです。医師のみで患者様を治療することは不可能で、多職種での介入がよりよい治療実績につながっております。当院では患者様一人に関わるスタッフ、職種数が多く、より充実したサポートを提供しており、術前のケアから術後のリハビリテーション、外来まで総合的にサポートいたします。
カテーテル治療のいいところと悪いところ
いいところは胸を大きく切らないため回復が早く痛みが少ないことです。ほとんどの方が1か月もすれば症状が良くなり生活レベルが改善します。悪いところはある程度の確率で重大な合併症が起こることです。すべての患者さんが簡単に治療できスムーズに退院できるとは限りません。心臓や大動脈に傷がついた場合は緊急で開胸手術が必要になることもあります。
当院での治療実績
2013年12月から140人の患者さんに治療を行っております。
成功率 98%、手術が原因の死亡率 0%、術後1週間以内の退院率 60%、6か月以内の症状改善率 90%、1年以内の死亡率 5%(心臓が原因の死亡率は0%)、1年以内の心臓が原因での再入院率6%です。術後ケアを丁寧に行っており、世界標準値より良好な結果となっています。
治療対象者
大動脈弁の狭さが重症で、息苦しさなどの症状がある患者さんです。80歳以上で多くの病気をもっていらっしゃる方、以前は元気だったのに息苦しさのせいで生活レベルが低下している方、年齢を問わず開胸手術が不可能な方などです。
費用について
健康保険のみ使用 | |
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70歳未満 | 約180万円(3割負担の場合) |
70歳以上 | 44,400円(所得により異なります) |
高額療養費制度を利用 | |
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70歳未満 | 約10〜30万円(所得により異なります) |
70歳以上 | 44,400円(所得により異なります) |
保険診療になっていますので80歳以上であれば窓口では1割負担です。高額医療になりますので所得に応じて負担額がさらに軽減されます。個室部屋代、食事代は別途必要です。
問い合わせ先
医療連携室までお問い合わせください。
Tel. 03-5550-7105
月〜金 8:30〜17:00
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